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生きられる都市を求めて~荷風、プルースト、ミンコフスキー~(フィギュール彩 44)
近藤 祐
著
発行年月 |
2016年01月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
174p |
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大きさ |
19cm |
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ジャンル |
和書/社会科学/社会学/都市・地域・農村 |
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ISBN |
9784779170485 |
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商品コード |
1019381025 |
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NDC分類 |
361.78 |
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本の性格 |
学生用 |
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新刊案内掲載月 |
2016年02月2週 |
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書評掲載誌 |
日本経済新聞 2016/01/10 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1019381025 |
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著者紹介
近藤 祐(著者):1958年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。一級建築士、文筆家。建築デザイン事務所を主宰。著書に「物語としてのアパート」「脳病院をめぐる人びと」など。
内容
東京に限らず現代都市にまつわる私たちの不充足感は 「いつ」「どのように」生み出されたのだろうか。 「近代日本」の進歩に背を向け、江戸の古風、 日蔭に暮らす弱者の心象を書き留めてきた永井荷風。 愛すべき下町をことごとく焼尽させた関東大震災後、 新たに出現した「昭和」という不愉快な時代を迎えて、 もはや東京には自分が愛惜するものがないという 寂寞と怒りを抱えていた。 人間にとって愛惜するべきものがない場所に 生きるとはどういうことか。 荷風が嘆き、憎悪した東京の風景や文物の急速な変貌を、 私たちもまた同時代的に経験している。 現在においても馴染みある古い建築や町並みは あっという間に駆逐され、精力的な大規模開発によって、 新しいけれど居心地の悪い空間が次々と出現している。 モノや情報は世の中にあふれているが、何か息苦しく、 不充足感や喪失感、あるいは憤懣のようなものを、 多くの人間が抱えているのではないか。 現在の東京には「生きられる場所がない」と までは言わなくとも、もっと別の生き方、 別の「生きられる場所」があるのではないか という思いを、多くの人間が共有しているように思える。 現在の都市空間が抱える「問題」のほとんどは 荷風が生きた時代に始まっている。 荷風が目撃した「都市」とはどのようなものであり、 それは私たちにどのように継承され、また変質してきたのか。 その問題を深く犀利に考察する。