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【金融市場の戦略的分析 全2巻】
World Scientific Reference on the Strategic Analysis of Financial Markets (In 2 Volumes): '17
Steven D. Moffitt
著
発行年月 |
2017年03月 |
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出版国 |
シンガポール |
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言語 |
英語 |
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媒体 |
冊子 |
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装丁 |
hardcover |
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ページ数/巻数 |
1120 p. |
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ジャンル |
洋書/社会科学/経済学/金融経済学 |
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ISBN |
9789813142770 |
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商品コード |
1020717889 |
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本の性格 |
実務向け |
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新刊案内掲載月 |
2016年12月 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1020717889 |
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内容
本書第1巻、『フレームワーク』では、市場は合理性や効率的な市場が極限の状況に置かれたとき、その仮定をはずすことによってのみ理解することができるという前提に立っており、それでもなお、市場は内在的な秩序や内在的な論理を有していることを示しています。しかし、その秩序は主に投資家の「予想可能な非合理性」や、人々が協調せず利益追求することによるものです。結果としての市場パターンは合理性や効率性に依拠していません。
心理学や統計学、ゲーム理論、ギャンブル分析、市場の歴史、著者の経験を組み合わせることによって金融市場を理解するためのフレームワークが開発されました。ここでは、投資の専門家やトレーダーが市場についてどのように考えているか、特に、他の参加者が劣っている、部分的に予測可能な戦略をとるようなゲームとして考えていることが分析的に表現されています。お互いこのような戦略を持つことは市場に害をもたらし、にわか景気やバブル、バブルの破裂、そして崩壊をもたらすか、そこまでではないとしても「市場の非効率性」や「定型化された事実」と誤って呼ばれる数々の現象を引き起こすかもしれません。
人間の意思決定に関する心理学と「ギャンブルの基礎的な法則」の2つの基礎から論理的な事例研究が構築されました。売買にこの基礎的な法則を適用することにより、「ギャンブル合理性(grationality)」というアイデアが生まれ、これは効率的な市場における「合理性」の概念に取って代わるものです。部分的に予想可能な価格への影響(価格の「歪曲」)を持つものを分類することにより、トレーディングのアイデアやシステムを明確にし、データ分析を通してそのようなシステムを作ることが可能となります。これら全てを体系的に実施する方法、6段階の「市場メソッドの戦略的分析」が提案されています。具体例は本書と第2巻で提供されています。
本書第2巻、『トレーディングシステムアナリティクス』では、第1巻を発展させ、トレーディングシステムを開発するためのツールや技術を紹介し、実際の市場を使ってそれらを描き出しています。これら2巻とその他の文献との違いはその厳密さにあります。ここでは、トレーディングをギャンブルの一種として説明し、適切に実行されると非常に論理的であり、プロのギャンブラーや分析を重視するトレーダーにはよく知られていることだと説明しています。
しかし、そのようなエリートにとっても、トレーディングシステムのライフサイクル理論を含め定量的な手法が支持され応用されている度合いについては驚くかもしれません。背景資料を展開する幾つかのセクションを除いて、第2巻では、利益を生むトレーディングシステムを段階的に開発する原則的な市場メソッドの戦略的分析(SAMM)の原理を使ってユーロドル先物のためのシステムを一から作っています。本書は、トレーディングシステムの検証と改善のためのメカニカルな手法について一つの章を割いており、本書がどちらかというと非構造的で不十分な「バックテスティング」に関する文献より進歩した内容であることを示すとともに、因子モデルを使用して開発されたブレイクアウトのトレンドを追跡するシステムを示しています。また、特定のペアトレーディングシステムを提示し、そのライフサイクルを初期の極めて高利益の時点から最後の時点まで論じています。さらに、モメンタムトレーディングにおける最近の発展とそれに対する提案が論じられています。