内容
「名将」の栄光と挫折の生涯を描く評伝 マンシュタインは第二次世界大戦のドイツ軍の「名将」として知られる。名家に生まれ、第一次世界大戦に従軍し、やがて参謀将校として頭角を現し、エリート街道を進む。ヒトラーが権力を掌握し、彼に仕えてフランスを電撃的に打ち破り、降伏に追いやる。独ソ戦ではレニングラードに猛進、またセヴァストポリを陥落させるなど、多大なる戦果をあげる。しかしマンシュタインは、スターリングラードを死守せよとするヒトラーと対立し、解任される。失意のマンシュタインは、戦後、戦犯裁判の訴追という窮境に追い込まれる。マンシュタインは指揮下の部隊が戦争犯罪を行うのを止めず、責任を問われたのだ。すべての訴因について有罪ではなかったものの、禁錮刑に処せられる……。 英陸軍少将の著者は、戦後、称賛と非難の両極端に分かれたマンシュタイン評価に対し、その生涯を包括的に再構成し、ドイツ近現代史の流れを投影しつつ、ドイツの興亡を活写する。マンシュタインはナチ犯罪・戦争犯罪にどこまで関与したのか? 新史料や私文書を駆使し、「名将」の光と影、実像に迫る評伝の決定版。