内容
今にち,統計分野の重要性が改めてさけばれている。しかし,我が国に於いて現在のところ統計学を専門に学ぶ"統計学部"や"統計学科"にあたる場所が存在しないこと,また数理統計学に於いて扱う範囲が非常に広大であることから,多くの確率・統計の教室では俯瞰までの言及に留められている場合が多い。ゆえに統計学の漸近性に関する重要な分野の1つである大標本理論(あるいは漸近理論)を深く学ぶ機会は非常に限られている。 著者はUCLA大学院で,理系に留まらない多分野の院生から成る理論統計学の講義を20年にわたって行っている(執筆当時)。その経験と実績を結集し,大標本理論の独学を望む学生・研究者の要望に本書を以て応える。 本書は全4部・24章構成であり,1章ごとに1つの話題・定理を扱う。前半部では大数の法則・中心極限定理・x2検定などの基本的内容を扱う。後半部で大標本理論における推定・検定などの内容を扱う。 各章の最後に章末問題があり,学習が進めやすいよう配慮されている。