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精神医療、脱施設化の起源~英国の精神科医と専門職としての発展1890-1930~
高林 陽展
著
発行年月 |
2017年02月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
282p,30p |
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大きさ |
22cm |
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ジャンル |
和書/生命科学、医学、農学/神経・精神科学/神経科学 |
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ISBN |
9784622085959 |
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商品コード |
1023981139 |
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NDC分類 |
493.7 |
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本の性格 |
学術書 |
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新刊案内掲載月 |
2017年04月1週 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1023981139 |
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著者紹介
高林 陽展(著者):1977年生まれ。ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンウェルカム医学史研究所博士課程修了。Ph.D.。清泉女子大学文学部文化史学科専任講師。
内容
20世紀を通じて世界各国は、入院型の精神病院を中心としたものから外来設備を核とし地域に根ざした精神医療、すなわちコミュニティ・ケアへと、医療サービスの形態を変化させてきた。これは精神医療の脱施設化と呼ばれる現象であるが、英国では19世紀末から始まっていた。1890年、イングランドでは狂気法と呼ばれる法律が成立した。この法律は、精神疾患を患っていない人々が強制的に精神病院へと監禁された事件を背景とし、患者の人権擁護を目指したものだった。しかしイングランドの精神科医たちは、狂気法の非人道性や治療上の非効率性などを指摘して、この人道主義的な法律に一様に抵抗を示した。そして彼らは、精神疾患の予防と早期の治療を御旗とし、入院型の精神病院によらない新たな精神医療の形態、脱施設化された精神医療を提案していった。なぜ、精神科医たちは1890年狂気法に反対し、脱施設化された精神医療の必要性を訴えたのか。本書は、この問いに答えるために、精神科医という専門職に注目し、その政治的言説、職階構造、診療実践、病院経営、他専門職との競争のありかたを検討する。そこからは、社会学者A・アボットが論じた、近代西洋社会に特徴的な専門職発展の歴史的様相が確認される。精神医療の脱施設化は、精神科医=専門職の政治経済的な戦略と社会的な諸関係なくしては現われることはなかった、歴史上の現象であった。