内容
「大山詣り」の日本遺産認定で注目される大山は、江戸時代に庶民の信仰を集め、関東一円からご利益を求めて参詣する人々で賑わった。浮世絵などの絵画史料に活写されたその賑わいは、旅案内書、日記などでも窺い知ることができる。「大山詣り」の道中すべてを演出したのは、修験を出自とする御師(おし)たちであった。大山へと向かう街道(大山道)には、鳥居や数多くの道標などが設置され、参詣客の便宜を図った。本書は、大山の歴史を通観し、「大山寺縁起絵巻」、「大山不動霊験記」をはじめとする各種史料を読み解くことで、大山信仰の全貌を描き出し、現在辿ることのできる史跡にまで言及する。