風蓮湖流域の再生~川がつなぐ里・海・人~
長坂 晶子 著
内容
目次
はじめに 第1章 風蓮湖流入河川流域とは 1.流域の諸元 2.一次産業の興りと大規模酪農開発までの経過 3.風蓮湖流域における調査・研究の経過 4.根釧地方で進む流域連携の動き 5.本研究の視点 第2章 亜寒帯汽水湖(風蓮湖)の環境特性と低次生物生産過程の特徴 1.研究の背景 2.風蓮湖の概要および水理構造と水質・底質環境 水温および塩分の水平・鉛直分布 / 栄養塩およびクロロフィルaの時空間的変化 / 風蓮湖における降水量および潮汐と湖奥部の塩分の水平・鉛直分布の変動の関係 / 塩分を指標とした栄養塩およびクロロフィルaの挙動 / 粒状有機物とクロロフィルaとの関係 / 栄養塩が湖内の微細藻類の増殖に及ぼす影響 / 水柱および堆積物表層における微細藻類の生物量の比較 3.風蓮湖における微細藻類の出現特性と種組成の時空間変動 実験・調査の概要 / 実験期間を通した光量,栄養塩の変化と多様度指数の関係 / 調査時の優占種の遷移とその要因 4.風蓮湖の水柱・堆積物表層における基礎生産の定量化 実験時の試料の採取と分析,およびデータの取り扱い / 調査時の光量子密度の時空間変化 / 実験期間を通した水中の微細藻類の基礎生産速度 / 風蓮湖内の光環境の特徴とその時空間変動 / 水中の基礎生産速度の時空間変動とその要因 5.栄養塩の主要起源としての流入河川の評価 6.基礎生産量から評価するシジミ資源復活の可能性 第3章 陸水域?汽水域の溶存鉄の動きを追う 1.研究の背景 2.風蓮湖と風蓮湖流入河川の概要 3.河川と湖水の水質分析方法ならびに土地利用調査方法 水質調査 / 土地利用・土地被覆分類 / 土地の地下水位の調査 4.風蓮湖流入河川と風蓮湖の水質分析結果ならびに土地利用状況 河川水質調査 / 風蓮湖水質調査 / 土地利用・土地被覆分類 5.溶存鉄の起源と風蓮湖の基礎生産への寄与 河川水の溶存鉄濃度 / 風蓮湖流入河川が風蓮湖に輸送する溶存鉄・栄養塩フラックスの定量化 / 風蓮湖の水質に与える影響 6.ま と め 第4章 物質の環の再生 1.SWATモデルを用いて土地利用の変化にともなう窒素流出量を推定する この節の目指すところ / SWATとは? / SWATを使うメリット / 調査対象地域の概要 / SWATへ投入するデータについて / 流出解析 / 現在の課題への対応 2.負荷軽減策としての「低投入型酪農経営」は効果的か? 北海道の酪農について / 道東における低投入型酪農 / 「マイペース酪農」実践農家における生産と物質循環 / 地域の新たな文化的景観として酪農地帯の再評価 第5章 地域住民の環の再生 1.流域の上下流における自然認識の差異 合意形成を阻む「視点」の違いはどこから? / アポなし突撃インタビューを敢行 / 住民はどんな言葉を使って「身近な自然」を語っている? / 酪農家の間でも地域単位で自然観が異なっていた / 「見方が違う」ことを互いに知ることが第一歩 2.「住民の目から見た」風蓮湖流域の環境 住民に「地域の生物相」を尋ねる/アンケートを配って歩く / アンケートに回答してくれた方の特徴 / 「生きもの知識」の今昔 / 自然体験は生きものの知識を反映しているか / 風蓮湖流域の環境保全に対する住民意識 / 知識は体験によって,保全意識は社会によって育まれる 3.風蓮湖流域の変遷と人々の暮らし あらためて,風蓮湖流域の農業・漁業を概観する / 風蓮湖流域における物質動態と食料供給サービスの変遷 / これからの風蓮湖流域 第6章 座談会 風蓮湖流域のプロジェクトを振り返って 1.物質循環の再生を考える 溶存鉄の観測 / 風蓮湖側から見た陸域の印象/SWATモデルの善し悪し / マイペース酪農の実態を調査してみて / 風蓮湖流域の供給サービスの評価 2.地域住民の環の再生を考える 流域連携について / 川と地域住民の関わり / 大きな環(上流-下流)と小さな環(地域社会)の循環 用語解説 索 引
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