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スキーリゾートの発展プロセス~日本とオーストリアの比較研究~
呉羽 正昭
著
発行年月 |
2017年04月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
223p |
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大きさ |
21cm |
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ジャンル |
和書/社会科学/経営学/マーケティング・商業 |
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ISBN |
9784817604231 |
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商品コード |
1024201865 |
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NDC分類 |
689.3 |
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本の性格 |
学術書 |
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新刊案内掲載月 |
2017年05月2週 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1024201865 |
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著者紹介
呉羽 正昭(著者):1964年長野県生まれ。インスブルック大学大学院博士課程修了。筑波大学生命環境系教授。Dr.Phil.。専門は人文地理学、観光地理学、ヨーロッパ地誌。
内容
「はじめに」より抜粋 雪が降ると,雪かきをしなければならなかったり,道路が歩きにくかったり,さらに寒かったりと,われわれが暮らしていくうえで雪は不便をもたらしている側面がある。また山は,標高が高いために気温が低かったり,傾斜地が多かったりと,そこで暮らす人々の暮らしのみならず,産業立地にとっても大きな制約になってきた。しかし,これらの雪と山を一体化させることで産業を成立させ,また人々に楽しみをもたらしたものがスキーなのである。産業の近代化とともに,積雪農山村では一般に不利な条件が強調されていったが,スキーがもたらされたことによって,そこでの産業や暮らしは一変した。スキーリフト建設を伴ったスキー場ができると,周囲の農村や温泉地にスキーヤーが滞在するようになり,さらには新しい集落が立地する場合もみられるようになった。そうした地域では,スキーに関連する産業が重要な地位を占めるようになっており,スキーリゾートとして発展してきた。スキー場の圧雪されたゲレンデや新雪の斜面を滑り降りることが楽しいからこそ,毎冬スキーやスノーボードに熱をあげる人々が存在し,彼らの存在がスキーリゾートの持続的発展につながっていく。 スキーリゾートは,世界地図上でみると北半球と南半球ともに温帯よりも極側に立地する。ところが,スキーという同じレクリエーションに基づいてスキーリゾートが成立するものの,たとえば,日本のスキーリゾートとヨーロッパアルプスのスキーリゾートとでは共通点もみられるが相違点もかなり多い。本書はこれらの共通点と相違点について,スキーリゾートの発展プロセスの分析を通じて明らかにする。また共通点と相違点をもたらす要因を,自然条件や文化的側面にみられる地域的な性格から考える。一方で,地球温暖化傾向がみられるなか,積雪の不安定さが頻繁に現れるようになってきており,雪をどのように確保するかといった点はスキーリゾートの展望にとっての重要な課題であり,これらも含めて検討する。 周知の通り,日本ではスキー観光は低迷したままの状態が続いている。その一方で,オーストリアではさまざまな問題はあるものの,スキーリゾートはその発展傾向を維持させている。本書では,その違いの根源を,バカンスの取り方や過ごし方,スキー文化の差などで説明しようとした。もちろん,著者が気づいていない理由も多々あると思われる。こうした不十分な点については読者の方々にご指摘・ご批判いただき,スキーリゾートの研究を深化させていきたいと願っている。日本のスキーリゾートが,今後どのように進むべきなのかを考えるうえで,本書が何らかの参考になれば望外の喜びである。なお,本書の写真は注記のないかぎり全て筆者が撮影したものである。