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ガリラヤからローマへ~地中海世界をかえたキリスト教徒~(講談社学術文庫 2426)

松本 宣郎  著

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価格 \1,243(税込)         

発行年月 2017年04月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 341p
大きさ 15cm
ジャンル 和書/人文科学/歴史学/ヨーロッパ史
ISBN 9784062924269
商品コード 1024305243
NDC分類 232.8
基本件名 ローマ(古代)
本の性格 学生用
新刊案内掲載月 2017年05月3週
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1024305243

著者紹介

松本 宣郎(著者):松本宣郎(まつもと のりお)
1944年岡山生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。同大学院人文科学研究科西洋史学専門課程修了。博士(文学)。長く東北大学で教鞭を執る。現在、東北大学名誉教授。東北学院大学学長。専攻は古代ローマ史、初期キリスト教史。著書に『キリスト教徒大迫害の研究』(南窓社)、『キリスト教徒が生きたローマ帝国』(日本キリスト教団出版局)など。共編著も多数ある。

内容

イエスはローマ総督によって処刑された。しかし、まだそれは帝国にとっては辺境属州のささいなできごとでしかなかった。彼を神の子と信じる人びとの群れは大多数の帝国人からは無視されるか、まともに扱われることのない、いかがわしい、忌まわしいと見なされる状況にあったが、徐々に教徒の数と伝道の地域を拡大していった。それは結果的に地中海の心性を、そして社会のあり方そのものをも変化させるほどの影響を残したのである。


歴史のなかにあらわれたキリスト教徒を、現実の世界、あるいは社会とのかかわりのなかでとらえることを本書はめざす。ことばをかえれば、だいたい紀元前一世紀なかばから三世紀後半までの、地中海世界の人間、おおざっぱにそれはローマ帝国の住民ともいえるが、彼らの心性の一部をになうものとして、この世界にあらたに参入してきた初期キリスト教徒の周辺を、キリスト教の側からでなく、ローマ帝国史あるいは古代地中海世界のほうからながようとのもくろみである。ナザレのイエスは、ローマ帝国の属州の一辺境の田園地方から、人間の救いを告知する伝道をはじめた。彼は神と人との関係を、たとえば富んだ者より貧しい者が評価されると主張して、逆説的にとらえようとした。人目をひく奇跡や、魔術的な行為もなしたが、それらは社会的な弱者のためにほどこされることが主であった。彼の行為にはたしかに、独特の不思議なものがあったが、この時代のローマ帝国全域とまではいわずとも帝国東方、もっと狭くはユダヤだけでも、人びとに語り、不思議をおこない、しがらみのなかにある人間の解放を告げる予言者めいた人は少なからずいたのである。イエスを神の子と信じる人びとの群れが原始キリスト教徒集団を形づくった。教会という組織づくりと、外への宣教で天才的な力量を発揮したパウロの働きがあって、帝国の都市を拠点とする宗教集団がうまれた。ローマ帝国はその領域内に1000から2000の都市を有していた。帝国の行政の単位と、文化の舞台は都市であり、ローマ帝国の人間の本来的生活とは都市にしかない、と考えられていた。この都市で、最初のキリスト教徒はローマ帝国社会と直接ふれあうことになったのである。そのことはキリスト教徒がローマ帝国社会のなかで歓迎されていたことを意味しはしない。キリスト教徒はたしかに大多数の帝国人からは無視されるか、まともに扱われることのない、いかがわしい、ある人びとにとっては忌まわしいと見なされる状況にあった。それでも徐々に教徒の数と伝道の地域を拡大していったキリスト教は、この状況にたいして独特の対応をしめした。それは結果的に地中海の心性を、そして社会のあり方そのものをも変化させるほどの影響を残したのである。

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