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中動態の世界~意志と責任の考古学~(シリーズケアをひらく)

國分 功一郎  著

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価格 \2,200(税込)         

発行年月 2017年03月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 335p
大きさ 21cm
ジャンル 和書/人文科学/哲学/概論・参考図書
ISBN 9784260031578
商品コード 1024317942
NDC分類 104
基本件名 哲学
本の性格 学術書
新刊案内掲載月 2017年05月2週
書評掲載誌 読売新聞 2017/04/24、日本経済新聞 2017/04/30、読売新聞 2017/05/07、朝日新聞 2017/05/21、毎日新聞 2017/05/28、毎日新聞 2017/12/10、毎日新聞 2017/12/17、朝日新聞 2017/12/24、読売新聞 2017/12/24、朝日新聞 2021/10/23
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1024317942

著者紹介

國分 功一郎(著者):1974年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。高崎経済大学准教授。専攻は哲学。著書に「スピノザの方法」「暇と退屈の倫理学」など。

内容

【本書「あとがき」より】  中動態の存在を知ったのは、たしか大学生の頃であったと思う。本文にも少し書いたけれども、能動態と受動態しか知らなかった私にとって、中動態の存在は衝撃であった。衝撃と同時に、「これは自分が考えたいことととても深いところでつながっている」という感覚を得たことも記憶している。  だが、それは当時の自分にはとうてい手に負えないテーマであった。単なる一文法事項をいったいどのように論ずればよいというのか。その後、大学院に進んでスピノザ哲学を専門的に勉強するようになってからも事態は変わらなかった。  ただ、論文を書きながらスピノザのことを想っていると、いつも中動態について自分の抱いていたイメージが彼の哲学と重なってくるのだった。中動態についてもう少し確かなことが分かればスピノザ哲学はもっと明快になるのに……そういうもどかしさがずっとあった。  スピノザだけではなかった。数多くの哲学、数多くの問題が、何度も私に中動態との縁故のことを告げてきた。その縁故が隠されているために、何かが見えなくなっている。しかし中動態そのものの消息を明らかにできなければ、見えなくなっているのが何なのかも分からない。  私は誰も気にかけなくなった過去の事件にこだわる刑事のような気持ちで中動態のことを想い続けていた。  (中略)  熊谷さん、上岡さん、ダルクのメンバーの方々のお話をうかがっていると、今度は自分のなかで次なる課題が心にせり出してくるのを感じた。自分がずっとこだわり続けてきたにもかかわらず手をつけられずにいたあの事件、中動態があるときに失踪したあの事件の調査に、自分は今こそ乗り出さねばならないという気持ちが高まってきたのである。  その理由は自分でもうまく説明できないのだが、おそらく私はそこで依存症の話を詳しくうかがいながら、抽象的な哲学の言葉では知っていた「近代的主体」の諸問題がまさしく生きられている様を目撃したような気がしたのだと思う。「責任」や「意志」を持ち出しても、いや、それらを持ち出すからこそどうにもできなくなっている悩みや苦しさがそこにはあった。  次第に私は義の心を抱きはじめていた。関心を持っているからではない。おもしろそうだからではない。私は中動態を論じなければならない。──そのような気持ちが私を捉えた。  (以下略)

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