2巻構成の本書は、この分野を代表する研究者を集めることにより、外交政策分析に関するこれまでで最も包括的で最新の資料を提供しています。100を超える査読された項目を通して、外交政策の領域において関心の高い理論、方法論と本質的課題を権威ある研究者が概観しています。
本書は、理論の概観として、リアリズムやリベラリズム、構成主義、フェミニズムといった国際関係論から生まれた伝統的なアプローチを検討しています。また、2レベルゲームや拒否権プレイヤー、内憂転嫁論など、外交政策分析で頻繁に用いられている国内政治のアプローチをレビューしています。役割理論や安全保障化理論、さらに経路依存性や感情といったその他の概念的イノベーションを含む中範囲の理論も調査されています。加えて、信念や危機発生時の意思決定、類推法や暗喩の利用などの政治心理学や意思決定論に基づいたアプローチが詳細に探究されています。
方法論の概観として、収録された論文は現在の研究を検討し、記録文書の調査や史学史、反実仮想の利用、ディスコース分析、シミュレーション、エージェントベースモデル、また、定量的な手法に関する手引きを読者に提供しています。本書は、社会一般から政府関係、グローバルな主体まで外交政策に関わっている主要なアクターについても調査しています。また、武力の利用、軍縮、外交、対外援助、調停、交渉、平和維持、制裁に関する項目を通して、読者にそれぞれのアクターが扱う戦略やツール、技術について情報提供をしています。最後に、気候変動や倫理、移民、海賊、核拡散、テロリズムといった外交政策の本質的な課題をカバーしています。
本書は、本分野の詳細で基礎的な文献を探している読者にとって、外交政策分析の主だった論文を通覧できる必須の資料集です。