ホーム > 商品詳細
書評掲載
丸善のおすすめ度

幕末的思考

野口 良平  著

在庫状況 お取り寄せ  お届け予定日 10日間  数量 冊 
価格 \3,960(税込)         

発行年月 2017年11月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 308p,4p
大きさ 20cm
ジャンル 和書/人文科学/歴史学/日本史
ISBN 9784622086529
商品コード 1025924915
NDC分類 210.58
基本件名 日本-歴史-幕末期
本の性格 学術書
新刊案内掲載月 2017年12月4週
書評掲載誌 日本経済新聞 2017/12/23
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1025924915

著者紹介

野口 良平(著者):1967年生まれ。立命館大学大学院文学研究科博士課程修了。京都造形芸術大学非常勤講師。「「大菩薩峠」の世界像」で橋本峰雄賞受賞。

内容

幕末から明治への列島の歩みは、暗から明への昇華ではない。それは、列強による開国への圧力を前に、尊皇攘夷から尊皇開国への転向とその隠蔽、新政府の正統性の急造を伴いながら、慌しい近代国家建設を余儀なくされる過程であった。しかしそこでは、植民地化への危機感と理不尽への抵抗を糧に、普遍的価値のうえに新社会を構想する思考が、徒手空拳で模索されてもいた。中国や西欧からの輸入ではない、この国に地生えの思考が育まれる契機は、しかし、生みの親でもある対外的「危機感」に圧迫され、皇国主義イデオロギーの席巻という試練のなかで影を潜めていった。帰結の一つは、現在も続く第二極の不在である。本書は、「明治維新」という事後的な枠を通しては見えてこないその思考――幕末的思考――の系譜を、吉田松陰、中岡慎太郎、坂本龍馬、福沢諭吉、中江兆民、北村透谷、夏目漱石、朝河貫一、中里介山らに辿り、その画期性を歴史の行間にあぶりだした精神史的試論である。松陰の「やむにやまれぬ大和魂」の射程、中岡と坂本の連携を支えた地べたの普遍感覚、私情こそ公的なものの源泉であると見た福沢や、後発近代社会こそが民権論を実践できるという兆民の価値転倒の試み、『こゝろ』で「先生」の殉死に託した漱石の抵抗、介山『大菩薩峠』が描く明治がこない世界――。彼らの未成の思考を紡ぎ直すこと。その今日的意味の切実さを、幕末の人びとの経験は我々に教えている。

目次

カート

カートに商品は入っていません。