現在、インターネットや仮想現実上のコミュニケーションは基本的には視聴覚によるものである。

インターネットの次の重要な飛躍的進歩は、嗅覚・味覚体験をデジタル処理により通信、共有することである。視聴覚の刺激は周波数をベースとしているため、容易にデジタル化して駆動させることができる一方、味覚や嗅覚の刺激は化学分子をベースとしているため、容易ではない。この問題を解決すべく、味覚と嗅覚のための新たなデジタル駆動技術の発見が必要である。

著者らは、何年にもわたりデジタル駆動装置の開発実験を行ってきた。本書は、味覚と嗅覚のデジタル化の重要性、先行研究、著者らが提案した技術、その他の最先端研究の現状、提案した方法の利点と限界、そして今後の応用について完全な概要を提供する。

味覚と嗅覚のデジタル技術は、多感覚拡張現実分野に革命をもたらし、Human Computer Interaction（HCI）、コミュニケーション、拡張現実、仮想現実といった様々な分野で新たな双方向の可能性を切り開くだろう。