内容
何故おれは、裏切られ続けて死にゆくのか。織田信長の飽くなき渇望。家臣たちの終わりなき焦燥。焼けつくような思考の交錯が、ある原理を浮かび上がらせ、すべてが「本能寺の変」の真実へと集束してゆく――。まだ見ぬ信長の内面を抉り出す、革命的歴史小説!吉法師は母の愛情に恵まれず、いつも独り外で遊んでいた。長じて信長となった彼は、破竹の勢いで織田家の勢力を広げてゆく。だが、信長には幼少期から不思議に思い、苛立っていることがあった――どんなに兵団を鍛え上げても、能力を落とす者が必ず出てくる。そんな中、蟻の行列を見かけた信長は、ある試みを行う。結果、恐れていたことが実証された。神仏などいるはずもないが、確かに“この世を支配する何事かの原理”は存在する。そして、もし蟻も人も同じだとすれば……。やがて案の定、家臣で働きが鈍る者、織田家を裏切る者までが続出し始める。天下統一を目前にして、信長は改めて気づいた。いま最も良い働きを見せる羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益。あの法則によれば、最後にはこの五人からも一人、おれを裏切る者が出るはずだ――。累計10万部超え『光秀の定理』の空白はここに繋がり、歴史小説はまた、進化を遂げる。【絶賛の声!】歴史小説に確率論を導入した『光秀の定理』の画期は前兆に過ぎなかった。パレートの定理を応用した『信長の原理』は、システム論的歴史小説という壮大な実験だ。誰も見たことのない、まったく新しいエンターテインメントの形がここにある。 ――斎藤環氏(精神科医)この本で信長は心理学者であり、それ以上に明敏な社会学者である。あの謀反の原因も、信長の「社会学説」から解き明かされる。 ――大澤真幸氏(社会学者)史実を踏まえた奇抜な着眼! ――谷口克広氏(戦国史専門・歴史研究家)司馬遼太郎も思いつかなかった、組織論と人事論に根拠を置いた戦国もの。良い本と巡り合った! ――菊池仁氏(書評家)「パレートの法則」を通して物事の本質を見る信長を描きつつ、論理からこぼれ落ちる情の部分をもしっかりと描いている。見事な一作という他はない。 ――縄田一男氏(書評家)