内容
マーケティング研究の第一人者が、現代を語る上で主要なイシューの一つである贅沢を幅広い視野から捉える! 高度成長を経て必需品が一通り行き渡った日本では、マーケティングを考える上で「贅沢」は永らく、重要なキーワードとなっている。この本で、マーケティング研究で日本の学界を牽引してきた著者は、贅沢や消費に関連する古典や資料を渉猟し、贅沢の法則を提示する。 贅沢は、その定義が難しい。単に大きな金額を消費するというだけでなく、世間において他者のまなざしにも晒されることが多いため社会的な視野を持つ必要がある一方、具体的な「贅沢製品」を考えるにあたっても、価格や審美性などの切り口があり、多様でファジィ(曖昧)、そして異なる国、異なる時間軸で異なる立ち現れ方をする。 そこで本書は、贅沢にまつわる多くの概念を提出し、また動的な特性を整理した上で、経済発展の段階に合わせ、伝統社会に始まる「古典法則」、経済成長の離陸期に始まる「近代法則」、大衆消費社会の成立に合わせ始まる「現代法則」の3つに分類し、それぞれに固有の現象とメカニズム、またそれらの併存のダイナミズムを明らかにする。 消費財のマーケターが今、企画を考える上でさまざまな贅沢の法則を理解することは欠かせないスキルであり、また幅広い分野の研究者にも参考となろう。