内容
芥川龍之介にホメられて有頂天、永井荷風を敬愛しつつ、その存命中に「絢爛の情話」を著し(荷風も大激怒)、安藤鶴夫を妬み、稲垣足穂や金子光晴を友とし、城左門、今日泊亜蘭、そして小沢昭一、桂米朝、都筑道夫に師事され、酒癖が悪く、家賃滞納、夜逃げ、女性遍歴を重ねた、べら棒な奇人。絶交と破門を繰り返し、「孤立」を貫いたこのサイテーな男はしかし、寄席を愛し、市井の文学を愛し、江戸好みの詩情で歿後、再評価を受けた。神田の生まれで明治・大正・昭和を駆け抜けた著者が描く、かくもはなはだしきモダン東京。歿後60年/小説・随筆35篇