内容
福島にとって2017年度は節目の年であった―― 復興の起点、基盤であると位置づけられた除染終了が終了になり、福島第一原子力発電所周辺の11市町村に発令された避難指示が帰還困難地域を除いて解除された。また自主避難者に対する応急仮設住宅の無償提供が打ち切りになった。これらは被災者や被災地が抱える問題が解決されたことをもって行われたものでなく、復興加速のための措置である。著者は、未曾有の原子力災害に対してこのような奇策を労して復興の形づくりを急ぐのではなく、長期にわたって被災者の生活再建と被災地の再生に向けた課題を把握し、確かな復興政策を確立・充実することを主張する。震災・原発事故に関する多数の資料から、とくに除染と復興に焦点をあて、これまでの政策の変遷を整理するとともに、著者自身のフィールドワークによる現地調査や被災地の住民意識調査等をまとめた一冊。本書掲載表のpdfはダウンロード可能。