知を鐙す11のまなび

第9回 高山 宏先生

「学魔」高山宏が語る、漱石『夢十夜』を十一夜に

何かを学ぶとはどういう行為なのか、素材に誰しもの知る夏目漱石の名作『夢十夜』(1908)中、時間の関係上2篇を選んで(1)精読する(2)蓄積された文学史・文化史の教養を抽き出す/適用してみる という方法で縦横に「解釈」してみせる。そうやって『夢十夜を十夜で』(羽鳥書店)という本を世に問うたら、研究ではないとして学界は無視、読書界一般は文豪観・文学観から人生まで一変したという評。一体学ぶとは?と問う。

日 時:2019年12月25日(水) 18:30~20:30
会 場:日比谷図書文化館 大ホール

高山 宏氏(大妻女子大学副学長)
1947年生まれ。専門は、17世紀綺想派詩人とマニエリスム演劇。文学のみならず、美術、建築、文化史、思想史、哲学、デザイン、大衆文学、映画、江戸文化、コミック他諸々の学問領域を「横断」した各種論文、エッセイを執筆。異端の人文学者、学魔とも称される。主なる著書に、『目の中の劇場』『ふたつの世紀末』ほか。

【高山 宏先生 影響を受けた「私の3冊」】

迷宮としての世界<上>

迷宮としての世界<上>

岩波書店

[理由]
正統を名乗る文学史・文化史からきれいにこぼれ落ちた奇怪・偏倚・倒錯の言語芸術、歪曲美術をこれでもかと結集した上、それら全てが「マニエリスム」をキーワードにした途端、みごとに一線につながっていく現場を是非ふるえながら味読せよ。オルタナティブ(もうひとつの)文化史の聖典。永遠不滅の文庫にした高山宏、えらい。

迷宮としての世界<下>

迷宮としての世界<下>

岩波書店

迷宮と宇宙

迷宮と宇宙

羽鳥書店

[理由]
平田篤胤とE・A・ポーを並べて論じた講演に呆気にとられたが、鏡花、乱歩、三島、澁澤という本朝「幻想」文学を一線に並べ(系譜化1)、されにこれをポー、ボードレール、マラルメという西洋象徴派文芸と平行するものした(系譜化2)。論ぜられる対象自体の奇異・逸脱よりも系譜化の方法の奇異と逸脱が二重映しな批評化されたマニエリスム。これを一冊の本にさせた高山宏、えらい。

ゴシック・カルチャー入門

ゴシック・カルチャー入門

Pヴァイン

[理由]
人文ほぼ全分野が扱いに困っている高山宏マニエリスム文芸論・オルタナティブ文化史を使い、さらにその先を仄望しようとすれば、高山の通ったほぼ全領域を一度総力戦でなぞり切る他ない。それに挑み、高山の知らぬ領域に突き抜け始めるとどうなるかのヒントを惜しげもなく全巻にちりばめた、富島美子『女はうつる。(勁草書房)に匹敵する名著をものさせた高山、ゴイス。

【高山 宏先生 著書】

トランスレーティッド

詳注アリス

詳注アリス

亜紀書房

不思議の国のアリス 鏡の国のアリス

マニエリスム談義

ボーリンゲン

鏡の国のアリス

シェイクスピア・カーニヴァル

見て読んで書いて、死ぬ

アレハンドリア

道化と笏杖

さかさまさかさ

不思議の国のアリス

オルフェウスの声

世界の庭園歴史図鑑

インヴェンション

インヴェンション

明治大学出版会

ノンセンスの領域

夢十夜を十夜で

新人文感覚<2>

新人文感覚<1>

パラドクシア・エピデミカ

かたち三昧

かたち三昧

羽鳥書店

実体への旅

実体への旅

産業図書

アリス狩り

近代文化史入門

ボディ・クリティシズム

ヴィジュアル・アナロジー

風景と記憶

風景と記憶

河出書房新社

グッド・ルッキング

魔術事典

魔術事典

あすなろ書房

表象の芸術工学

トマス・ド・クインシー著作集<3>

殺す・集める・読む

ムネモシュネ

ムネモシュネ

ありな書房

アルチンボルド

アルチンボルド

ありな書房

〈新編〉黒に染める

健康と病

健康と病

ありな書房

魔の王が見る

魔の王が見る

ありな書房

ガラスのような幸福

とめどなく笑う

とめどなく笑う

ありな書房