<序 文>
化学工学会では化学技術の進歩と化学工学の適用範囲の変化・拡大に応えるべく、「化学工学便覧」の改訂を約10年毎に実施してきている。
今回の改訂では、初めての試みとして産業界から2名の方に編集委員会に加わっていただき、総勢12名からなる編集員会を発足させた。まず、化学工学会正会員全員にE-mail でアンケート調査を実施し、便覧の内容、体裁、価格等について広く会員の御意見を伺ったところ、1000名にも及ぶ方々から建設的な回答をいただいた。さらに、監修委員の先生方より大所高所からご意見をいただいた。
貴重なご意見を念頭において編集委員会で「化学工学便覧(改訂七版)」の内容、体裁、対象読者、web化に対する対応などの基本構想についての議論を重ねた。議論の中で、現場では、実際的な問題として「答えがすぐ出る」ことが大事。精度はあまり気にしない、その意味で四版の例題は使いやすくて実用的である、基礎編について、六版以上のものを書けるかというと疑問である、現状のユーザーの7割は企業である、学生が買えないのは価格も関係がある、使い易い簡単な計算ソフトを組み込んだ例題があればよい、などの意見が出された。これらを踏まえて、多くの化学工学関連の技術者・研究者ならびに学生が使える便覧を目指して、産学が連携して改訂に取り組むことを前提に、改訂の基本方針を以下のように決定した。
- 章立ては産業界から評価の高い四版を踏襲することにするとともに、できるだけ例題の数を増やしてより使いやすいものとする。これを具体化する体制として、章担当委員を学と産の2人制とする。
- 50題程度のやや高度な例題を加え、それらをExcel上で解くプログラムを作成してCD-ROMとして添付する。
- 改訂六版の基礎編部分との記述の重複を避ける目的と、改訂七版をできるだけコンパクトで使い易くするために、購入者に改訂六版をCD-ROMで無料添付する。
- 学生会員用の廉価版(学生版)を設定し、学生への普及を図る。
以上の方針に基づいて、2007年5月に200名に達する執筆予定者に執筆を依頼した。執筆に際しては、改訂六版の作業時と同様、まず内容の概要がわかるアウトラインの作成をお願いし、それを編集委員会で検討・調整してから、2009年1月を期限として正式に執筆をお願いした。また、例題のExcel化には、化学工学誌に連載された「エクセルで気軽に化学工学」の著者グループに協力を要請した。
執筆依頼後は、基本的には章担当委員が執筆者とのやり取りを通じてそれぞれの章の原稿を完成させ、それを編集委員会で検討・調整させていただく方針で、執筆・校正を進めた。章によっては原稿完成時期が予定より大幅に遅れたが、204名の執筆者によって本文1092ページの改訂版を刊行するに至った。基本方針と照らして、例題数は145題でそのうちExcel化できた例題は41題と、当初の計画よりは若干少なかったが、改訂六版とともにCD-ROMで添付することができた。全体として化学工学会の「産学連携」の下に、今回の便覧改訂が成し遂げられた。
編集委員長 三浦 孝一
<CD-ROM収載データ>
例題解法のExcelファイル(41題)/改訂六版本文のPDFファイル