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働きたくないイタチと言葉がわかるロボット~人工知能から考える「人と言葉」~
川添愛
著
花松あゆみ
イラスト
発行年月 |
2017年06月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
269p |
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大きさ |
21cm |
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ジャンル |
和書/理工学/情報学/情報システム・ソフトウェア |
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ISBN |
9784255010038 |
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商品コード |
1024877491 |
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NDC分類 |
007.636 |
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本の性格 |
学生用 |
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新刊案内掲載月 |
2017年07月4週 |
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書評掲載誌 |
読売新聞 2017/07/30、毎日新聞 2017/08/20 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1024877491 |
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著者紹介
川添愛(著者):1996年九州大学文学部文学科卒業(言語学専攻)。2005年同大学大学院にて博士号(文学)取得。
2002 ~2008年、国立情報学研究所研究員。2008~2011年、津田塾大学女性研究者支援センター特任准教授。
2012~2016年、国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授。専門は言語学、自然言語処理。
著書に『白と黒のとびら――オートマトンと形式言語をめぐる冒険』(東京大学出版会、2013年)、
『精霊の箱――チューリングマシンをめぐる冒険(上・下)』( 東京大学出版会、2016年)がある。
内容
なぜAIは、囲碁に勝てるのに、簡単な文がわからないの?
そもそも、言葉がわかるって、どういうこと?
中高生から大人まで「言葉を扱う機械」のしくみと、私たちの「わかり方」を考える。
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「つまり、僕らはロボットにしてほしいことを言うだけで、あとはロボットが勝手にやってくれる。それが一番いいってことだね」
「いいね。そうすれば、誰も働かなくてよくなるね」
イタチたちはみなこの計画にうっとりして、なんてすてきなのだろうと思いました。
(序章「ことの始まり」より)
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なんでも言うことを聞いてくれるロボットを作ることにしたイタチ村のイタチたち。彼らは、「言葉がわかる機械ができたらしい」といううわさを聞いては、フクロウ村やアリ村や、その他のあちこちの村へ、それがどのようなものかを見に行きます。ところが、どのロボットも「言葉の意味」を理解していないようなのです――
この本では、「言葉がわかる機械」をめぐるイタチたちの物語と、
実際の「言葉を扱う人工知能」のやさしい解説を通して、
そうした機械が「意味がわかっていると言えるのか」を考えていきます。
はたして、イタチたちは何でもできるロボットを完成させ、ひだりうちわで暮らせるようになるのでしょうか?
ロボットだけでなく、時に私たち人間も、言葉の理解に失敗することがありますが、なぜ、「言葉を理解すること」は、簡単なように見えて、難しいのでしょうか?
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――いま、さまざまな人がさまざまな機会に、「言葉を理解する機械がとうとう完成した」とか「今はできていないけれど、もうすぐできるだろう」とか「機械には本当の意味で言葉を理解することはできない」ということを言っています。いったいどれが正しいのでしょうか?
――私たちは普段から、「あの人が何を言っているかが理解できた」とか「あの言葉の意味が分からない」ということをよく口にします。しかし、自分がそう言うとき、どんな意味で言っているか、きちんと意識しているでしょうか? 実際のところ、私たちはさまざまなことを、「言葉が分かる」という便利な表現の中に放り込んでしまっています。それらを一つひとつ取り出してみないことには、「言葉が分かっているかどうか」という問題に答えを出すことはできません。
――この本では、「言葉が分かる」という言葉の意味を考えていくことで、機械のこと、そして人間である私たち自身のことを探っていきたいと思います。
――(問題の一部を知るだけでも)みなさんが、「人と機械の知性」について考えたり、またご自身の「言葉の使い方」や「理解の仕方」を振り返ったりする手がかりになると信じています。
(序章「ことの始まり」より)
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