内容
人類にとってもっともやっかいな疾病である「がん」.現在,がんの研究は,医学,薬学,生化学,生物学,化学の分野にとどまらず,環境科学,食品学といった周辺の分野においても行われている.とくに,生化学や生物学の分野では,がんの分子レベルでの研究が進み,多くの興味ある結果が報告されており,すばらしい展開を見せている.特にがん遺伝子およびそのタンパク質の働きについてはめざましいものがある. このような状況のもと,がんの生化学や生物学に関連する分野において,最近の研究成果をうまくまとめた教科書的な参考書の要望に応え,がんの生物学に関する話題に焦点を絞って解説したものである.