内容
生物はその環境変化を刺激として受容し,反応することによってその生存を可能にしている.筋肉運動のようなマクロな運動から,細菌や動植物の精子など顕微鏡下の運動,植物の屈性や傾性などの運動など,その種類はさまざまである.また生物が成長し子孫を残すためには細胞が分裂する必要があるが,この過程には染色体運動と細胞質分裂という二種類の細胞運動が関与している.このように,細胞運動は生物の個体維持の身なら図,種族維持においても中心的な役割を果たしている.本書は,そのようなさまざまな細胞の運動を,おもに運動力の発生の機構の観点からまとめて解説したものである.できるだけ古典的な内容から最新の情報までを含めてある.