内容
病院の設備が飛躍的に改善され,次々に開発された優秀な抗生物質が患者の生命を救ってきた半面,感染の瞬間的拡大や病院内の細菌叢の選択という新たな事態を招くようになってきました.病院は昔の結核療養所の様に広い敷地に平屋建てが点在するのではなく,多層建築となり,空いた敷地は駐車場にする時代となったのです.多層建築というのは人口密度が非常に高く,万が一伝染病が出た時には,病院内に瞬間的に広がる危険が多いのです.目に見えない病原微生物をビル火災の火にに置き換えて考えなければなりません.火の用心は病院中の全員の義務です.MRSA感染症も医者が悪い,患者が悪い,というのではなく両者とも注意を傾けなければならないのです. 本書はMRSA感染症の院内感染について解説しながら,普段医者が教えてくれない健康についてのノウハウを随所に配しました.