内容
皮膚軟部腫瘍は,皮膚科医や病理診断医にはなじみが少なく,臨床像で診断できる疾患が限られているため,病理診断が重視される分野である.
私は,2001年に札幌皮膚病理研究所を開設し,2005年の終わりまでに,10万件の病理診断報告書を作成し,皮膚や皮下脂肪組織に発生する軟部腫瘍,すなわち皮膚軟部腫瘍を多数病理診断する機会をもつことができた.病理診断に際し,皮膚軟部腫瘍の病理組織を系統的に理解し,日常の診療活動に利用できる教科書が少ないことを実感した.とくに日本語で書かれ,病理組織像の紹介と病理診断の仕方にも触れた,病理診断に利用できる単行本をみつけることができなかった.このことが,私が本書を作ろうと思い立った動機であり,病理画像のたくさんある,とくに弱拡大で病変の全体像を紹介するという企画に反映している.
(「はじめに」より)
【CONTENTS】
はじめに
第0章 総論
第1章 脂肪細胞性腫瘍および腫瘍類似病変
第2章 線維芽細胞・筋線維芽細胞性腫瘍および腫瘍類似病変
第3章 いわゆる線維組織性腫瘍および腫瘍類似病変
第4章 平滑筋性腫瘍と横紋筋性腫瘍
第5章 周皮細胞性腫瘍
第6章 血管およびリンパ管性腫瘍および腫瘍類似病変
第7章 末梢神経の腫瘍および腫瘍類似病変
第8章 軟骨・骨形成性腫瘍および腫瘍類似病変
第9章 分化不明の軟部腫瘍および腫瘍類似病変
索引
おわりに