アリストテレス弁論術(岩波文庫 青604-8)
アリストテレス 著
内容
目次
凡 例 第 一 巻 第一章 序 論──従来の弁論術と技術としての弁論術 弁論術と弁証術/弁論術研究の可能性/従来の弁論術の不備/係争当事者のなすべきこと/立法者と裁判官の仕事/議会弁論は術策の余地がない/説得推論と論理的推論/弁論術の有用性/弁論術の仕事 第二章 弁論術の定義 弁論術の定義と領域/二通りの説得/弁論術の説得の三種/弁証術・倫理学との関係/弁証術の証明との類比/例証と説得推論の違い/説得の意味と特徴/弁論術が扱う対象/弁論術の推論の前提/説得推論の前提/ありそうなことと徴証/例証/説得推論の二種/弁証術と弁論術の論点 第三章 弁論術の種類 弁論術の三種類/弁論が関わる三つの時/弁論の目的/弁論の三つの前提 第四章 議会弁論 審議の対象/この探究の限界点/審議の五つの主題 第五章 幸 福 幸福がすべての目的/幸福の定義/幸福の部分/血筋のよさ/よい子供に恵まれること/富/名声/名誉/身体の徳/よい老年/友人/好運/徳 第六章 よいもの よいものの定義/追加規定と実例/よいことの明白なもの/異論のあるものの評価 第七章 より大なる善・利益 より大・より小の定義/より大きな善/種類間の大小/継起関係における大小/第三のものとの比較/二つのものの比較 第八章 国 制 国制分類の必要/国制の四種類/各国制の定義/各国制の目的 第九章 演説的弁論 演説的弁論の目標/美しいものの定義/徳/徳の諸部分(徳目)/徳の徴と成果/美しい(立派な)もの/類語による称讃/聴衆が称讃する行為であること/相応しい行為であること/選択による行為であること/称讃と讃辞/称讃と助言の相互変換/増大誇張/各種弁論に適した方法 第一〇章 法廷弁論 不正の考察の三視点/不正の定義/不正を選ぶ動機/不正行為の外的動機/行為の内的動機/付帯的な原因/1 運による行為/2 自然による行為/3 強制による行為/4 習慣による行為/5 考量による行為/6 憤りによる行為/7 欲望による行為 第一一章 快 楽 快楽の定義/本性との一致は快い/習慣は快い/強制されぬものは快い/欲望が向うものは快い/欲望の二種/記憶や期待に基づく快楽/他の快楽 第一二章 不正をなす者と蒙る者 不正が可能な場合/罰を受けないと信ずる場合/発覚しないと信ずる場合/罰は小さいと信ずる場合/不正を加える相手/不正行為の種類 第一三章 不正行為の分類 正・不正の分類/二種類の法による規定/二種類の人による規定/不正は意図的行為/不正には意志が働く/書かれていない正・不正/1 自然の正・不正/2 公正/公正が適用される行為/いかなる行為が公正か 第一四章 より大きな不正行為 品性の不正に基づく場合/被害の大きさによる場合/その他の基準による場合 (一)/弁論の効果的方法/その他の基準による場合 (二)/書かれていない法に反する行為 第一五章 弁論術に本来属さぬ説得 この種の説得の数/Ⅰ 法/書かれた法を攻撃する場合/書かれた法を弁護する場合/Ⅱ 証人/昔の証人/最近の証人/証言/Ⅲ 契約/契約が有利な時/契約が不利な時/Ⅳ 拷問による自白/Ⅴ 宣誓/宣誓を求めない場合/宣誓を拒む場合/宣誓要求を容れる場合/宣誓を求める場合/宣誓が相反する場合 第 二 巻 第一章 聴き手の心への働きかけ 前巻の要約/弁論の狙い/聴き手の感情/論者が信頼される根拠──人柄/感情 第二章 怒 り 怒りの定義/個人に向けられ、快を伴う/軽蔑の諸相/怒る時の心の状態/怒りの相手/結び 第三章 穏 和 穏和の定義/穏やかに接する相手/穏やかな人の心の状態/結び 第四章 友愛と憎しみ 友愛の定義/友愛の相手/友愛の種類/友愛の条件/憎しみの定義/怒りと憎しみの違い/結び 第五章 恐れと大胆さ 恐れの定義/恐ろしいもの/恐れられる人/恐ろしいもの(続)/いかなる状態の時恐れるか/大胆さの定義/大胆さの対象/いかなる状態の時大胆か 第六章 恥と無恥 恥ずべきことの定義/恥ずかしく思う相手/恥を感ずる場合 第七章 親切と不親切 親切の定義と説明/弁論の進め方/親切のカテゴリー/不親切 第八章 憐 れ み 憐れみの定義/どんな状態の時憐れみを抱くか/憐れみを誘うもの/憐れみを誘う人 第九章 義 憤 義憤と憐れみ/義憤と妬み/義憤を覚える対象/義憤を覚える時の状態/結び 第一〇章 妬 み 妬みの定義/妬みを抱く時の状態/妬みの対象となるもの/妬みの対象となる人/結び 第一一章 競 争 心 定義・競争心を持つ時の状態/競争心を持つ対象/競争心を燃やす相手/感情全体の結び 第一二章 年齢による性格(一)──青年 考察のテーマ/青年 第一三章 年齢による性格(二)──老年 青年との比較 第一四章 年齢による性格(三)──壮年 壮年は中間的性格/壮年の時期 第一五章 運による性格(一)──家柄のよさ 家柄のよさによる性格/血統の正しさとの違い 第一六章 運による性格(二)──富 金持の性格/成金と古くからの金持/金持の不正 第一七章 運による性格(三)──権力と好運 権力/好運 第一八章 共通の論点 これまでの要約/三種の弁論に共通な論点 第一九章 共通の論点──各論 可能と不可能/過去と未来/大と小 第二〇章 共通の説得手段──例証 二つの共通な説得手段/例証の二種/歴史的事実による例証/創られた例証──比喩/創られた例証──寓話/寓話と歴史的事実の比較/例証を用いる場合 第二一章 共通の説得手段──格言 格言の定義/格言の分類/補足をする場合/格言を用いる場合/定着している格言に反対の場合/格言の効用/結び 第二二章 共通の説得手段──説得推論 定義の確認/問題特有の論点を知る必要/説得推論の要素(論点)/結びと次の考察 第二三章 説得推論の論点 有効な説得推論 第二四章 見せかけの説得推論 第二五章 説得推論の反駁 反駁の二方法/四種類の異論/四種類の反駁 第二六章 説得推論の注意事項 誇張と過小評価は論点でない/反駁のための説得推論/異論は説得推論でない/一・二巻のまとめ 第 三 巻 第一章 第三巻の主題 弁論の三つの部分/表現方法の考察/演技的要素──声/演技に関する術は未組織/表現方法の歴史 第二章 表現の優秀性 1 明瞭さ/2 適切さ/3 聞きなれない表現/詩的表現の注意/新造語と日常語/同音異義語と同義語/比喩/比喩の適切さ/比喩の不適切さ/修飾語/縮小詞 第三章 生彩のない表現 1 合成語/2 聞きなれぬ語/3 修飾語/4 比喩 第四章 譬 え 譬えの定義/譬えの使用/譬えの実例 第五章 表現のよさ 正しいギリシア語/1 接続語の適切な使用/2 固有の名を用いる/3 多義語を避ける/4 名の性別/5 数の違い/句読点/接続語は共通であること/要点を先に示すこと 第六章 表現の重厚さ 名の代りに説明句を用いる/複数形を用いる/分離表現/接合表現/表現の拡大 第七章 表現の適切さ 適切さの定義/釣合い/感情を表わす/人柄を表わす/注意事項 第八章 リ ズ ム 散文にリズムは必要/散文のリズム/パイアン調の使い分け 第九章 文体表現の構成 二つの表現構成/連結されただけの表現/周期的な文/周期的な文の二種/節の並置と対置/パリソーシス、パロモイオーシス 第一〇章 洗練された表現 理解できるもの/比喩の効用/譬え/対置された表現/比例関係による比喩 第一一章 生々とした表現と味のある言葉 生々とした表現の定義と実例/比喩は洞察を要する/別な予想を与える/警句/巧みな謎/予期せぬ語と作り変えた語/味のある言葉/適切な同音異義語/譬え/諺/誇張表現 第一二章 表現方法の種類 弁論に応じた表現方法/書かれた弁論と討論用弁論/繰り返し/接続詞省略/討論用の表現/演説用の表現/表現分類の限界 第一三章 言論の部分 不可欠な二部分/従来の分類──批判 第一四章 序 論 定義/笛の序曲に似ている/称讃・非難による序論/忠告による/法廷弁論からの援用/法廷弁論の序論/序論の目的/告発・弁明における序論/聴き手における治療効果/長い前置きの効用/演説的弁論の序論/議会弁論の序論 第一五章 中 傷 中傷を解消する論点/中傷する側の論点/両者に共通な論点 第一六章 陳 述 演説的弁論の陳述/行為についての陳述/法廷弁論の陳述──告発の場合/法廷弁論の陳述──弁明の場合/陳述は簡潔であるべき/陳述に性格を表わす/感情的要素/陳述の注意事項/陳述の場所/議会弁論の陳述 第一七章 説得(証拠立て) 法廷弁論における説得/演説的弁論における説得/議会弁論における説得/実例/説得推論/感情/道徳的性格/各種弁論の比較/反対者に対する説得/自分を表わさない/説得推論の変形 第一八章 質問・答え、冗談 質問する時機/いかに答えるか/冗談 第一九章 結びについて 結びの構成 解 説 参考文献 訳 者 註
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