J.E.スティグリッツが、ベストセラーとなった『世界の99％を貧困にする経済』（原題The Price of Inequal-ity）で披露した診断を発展させ、拡大するアメリカの問題に対峙する方法を提起するのが本著『二極化』です。
彼は、不平等が選択の結果であるということ、つまり不公平な政策と、優先すべきことを見誤ってきた積み重ねであるということを喝破します。
Vanity FairやNew York Timesなどに寄稿した彼の論文を集めることでアメリカの不平等の様相や原因、そしてアメリカおよび世界にもたらす結果をいかんなく明らかにし、レーガン政権時代から大不況とその直後の時期に至るまで、多くのアメリカ人を翻弄しアメリカンドリームを実現不可能な神話にしてしまった無責任な政策、すなわち自由化や減税、1%税額控除といった失策を掘り下げ検証しています。

本書の特徴
 企業や富裕層への増税、子どもや貧困層への援助拡充、教育・科学・インフラへの投資拡大、銀行ではなくマイホーム所有者への支援、そして、最も大事なこととして完全雇用の経済を復活させるための更なる政策といった真の解決策の提言
 スカンジナビア、シンガポール、日本の教訓を引き合いに、ヨーロッパに蔓延している不要どころか破壊的な緊縮財政の風潮への反論
 成長か公正かではなく、正しい政策で両方を選択できるという新たな未来の提起