明治日本の国粋主義思想とアジア
中川 未来 著
著者紹介
内容
目次
序章 国粋主義研究の視角 一 東邦協会の時代―アジア経験の共有と対外観形成― 二 本書の課題と視角 1 転換期としての一八九〇年代 2 「健康なナショナリズム」論をめぐる研究動向 3 アジア認識・対外観の全体構造 三 本書の構成 第一部 国粋主義グループのアジア認識枠組み 第一章 「東方策士」稲垣満次郎の対外論と地域社会―「東方論」の構造・伝播・変容― はじめに 一 「東方策士」の誕生 二 「東方策士」の思想課題 1 「経済的の和合一致」 2 学術団体と華族の役割 三 「東方論」の構造 四 「東方論」の受容と伝播 1 ジャーナリストによる受容 2 講演活動―「一国の一致協合」を目指して 五 「東方論」と地域振興 1 「各国皆別に有する所の特色」による実業振興―京都の場合 2 「東方論」と地域間競争―宮津の場合 おわりに 第二章 志賀重昂と稲垣満次郎の南洋経験―アジア主義におけるオーストラリア要因― はじめに 一 南洋認識の形成―『南洋時事』以前― 1 地理書の南洋記述 2 日豪貿易の進展と空間認識の拡大 二 予見される南洋連邦―志賀重昂― 1 農学士と海軍遠洋練習航海 2 『南洋時事』の主題―殖産興業による「日本の独立」 3 「第二の北米合衆国」―豪州認識と通商構想 4 「風土」によるナショナリティー形成 三 モンロー主義の発見―稲垣満次郎― 1 酒田丸の南洋巡航 2 モンロードクトリン―北部太平洋における「不羈自在の位置」 おわりに 第三章 高橋健三の国粋主義と東アジア秩序構想―人道・国際法・東亜同盟― はじめに 一 官僚時代の思想形成 1 法制官僚時代 2 太政官文書局・内閣官報局時代 二 国粋主義と人道 1 「欧化したる漢学者」 2 国粋主義の構造 三 東亜同盟構想の形成と展開 1 「人道の条理」に基づく国際法矯正 2 東亜同盟構想の登場 3 東亜同盟への道程―日清戦争 おわりに 補論一 国粋主義と近代仏教―アジア主義におけるインド要因― はじめに 一 ナショナリストと仏教者の出会い―辰巳小次郎を中心に― 1 書生社会における仏教改良論 2 辰巳小次郎と大同団結運動 二 「三国」から「アジア」へ 1 日本仏教徒の使命 2 インドへの道 おわりに 第二部 アジア認識の形成とメディア 第四章 「東学党」報道と陸羯南―日清開戦直前のジャーナリズム― はじめに 一 「東学党」イメージの形成 1 一八九三年の「東学党」報道―『大阪朝日新聞』の場合 2 「東学党」=革命党イメージの展開―居留地メディアと「朝鮮浪人」 二 流通する「東学党」イメージ 1 「東学党」報道の傾向 2 清軍の行動に関する報道の構図 三 消費された「東学党」イメージ 1 「革新の義兵」論―『自由新聞』の場合 2 日清局外中立論―陸羯南の意図 おわりに 第五章 内藤湖南の台湾経験―帝国主義状況下の国粋主義― はじめに 一 日清戦前・戦後の社会認識と対外論 1 社会閉塞の現状 2 日清戦争と「自信」の回復 二 台湾論の基調―内地延長主義と文明化― 1 内藤湖南の台湾生活 2 「行政の漸化策」―柔軟な内治延長主義 3 植民を通じた「人道文明の宣布」 三 「移風易俗」―風俗改良の論理― 1 旧慣尊重と風俗改良 2 文明化の手段としての日本化 おわりに―台湾経験のゆくえ― 補論二 植民地統治初期の台湾とメディア―『台湾新報』と『台湾日報』について― はじめに 一 「上意下達の一方法」―『台湾新報』の創刊― 二 海外からの視線―『台湾日報』の創刊― 三 紙面の体裁と関係者 四 植民地統治とメディアの役割 おわりに 終章 明治日本の国粋主義思想とアジア 一 本書の成果 二 一八九〇年代国粋主義の位相
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