内容
質の高い腎移植、および、移植前後の内科的管理を実現するためには、移植外科医と腎臓内科医との緊密な連携が必須であり、その相互理解のために役立つ本として本書は企画された。初級者はもちろん、中級者の知りたい内容にも十分応え得る、かっちりとした手堅い本に仕上がっている。執筆はこの分野のエキスパートに依頼し、重要かつ頻度の高いテーマに沿った典型症例を創作・提示して、専門医の考え方を平易な記載で示して戴いた。先行的腎移植(PEKT)などの新しい動向も入れつつ、一方、腎移植について未解決の問題も多く残されており、それらの問題点と対応策についても、現時点での考えをあまさず述べた。腎移植を十分理解していない若い医師やコメディカルスタッフが興味を持つような工夫もされており、日々の患者からの質問への答え方や説明の際の参考資料としても活用できる。本書の読者としては、腎移植の現状、データ、移植についての患者への説明、外科医につなぐ際の事前準備などの知識を得たい腎臓内科医、移植後の感染症や多岐にわたる合併症などの内科的管理を任された移植外科医を想定しており、ぜひ一読を勧めたい。