内容
監獄法改正以降、刑事施設や少年施設で薬物再乱用防止プログラムも開始されつつある今日、アディクション領域への専門家参入ニーズはかつてなく高まっている。しかし、「やめられないとまらない」アディクションに治療薬はなく、まして精神論も根性論は毒にも薬にもならない。ならば臨床家はどうすればいいのか?――「わかっちゃいるけどやめられない」アディクションからの回復に残される希望、それは心理-社会的アプローチにあり、人と人との関係にある。高まる専門家参入ニーズを受けて編纂された本特集、前半部では、松本俊彦+藤岡淳子+熊谷晋一郎の鼎談「アディクションとは何か?」から、ベテラン臨床家たちが個人史とともにアディクション臨床を語るセクション「アディクション臨床への誘い」、「脳の病」「不適切な学習の結果」「自己治療」「関係性の病」などアディクションの多面性を考えるセクション「アディクションとは何か?」、アディクションを基礎から学ぶセクション「アディクションの医学的基礎知識」まで、アディクションの基礎知識をゼロから学んでいく。現場で活躍する執筆陣が援助の実態を語る後半部は、臨床家たちの体験知から生まれたセクション「治療・援助の実際」、当事者家族もまた癒し癒される存在となるアディクション臨床の特徴を描いたセクション「アディクションの家族支援」、そして松本俊彦+田代まさしの対談「回復へのターニングポイントは何だったのか?」まで、読み応え十分な臨床レポートが満載。