内容
心理検査は,クライエントとの臨床の始まりのこともあれば,関係の途中のエピソードのこともあり,そのクライエントとは検査だけのかかわりとなることもある。チームワークで進行する現代の多忙な臨床現場では,ともすると検査結果のクライエントへの伝達は形式的なものとなりやすい。日々行われる検査の時間をクライエントのこれからに寄与するものとするためには,臨床家は検査を通して個性的な受検者像を捉え,単なる結果の伝達を超えた共有をクライエント/臨床チーム双方と行えなければならない。本書は多様な現場と経緯において心理検査を受検したクライエントに,「客観的かつ支持的な」検査結果の共有を試みた現場の臨床家の8つの事例を収載する。各事例にはベテラン臨床家が検討を加え,それぞれの事例にさらなる厚みをもたらしている。2009年刊行の第1集と同様,受検者へのフィードバックとスタッフへの報告のやり取りを逐語で収録,報告書式を示した。