「はたらく」を支える!職場×発達障害
内容
目次
第1章 発達障害を正しく知り,対応する 1 産業精神保健分野における発達障害(廣 尚典) A.職場における発達障害 B.事例性と産業医の視座 C.発達障害に見られる事例性 D.健康障害と就業面の配慮 E.就業面の配慮の限界 F.職場における発達障害者への対応と支援 1.発達障害と確定診断を受け,障害者手帳を保持している者 2.発達障害と確定診断を受け,障害者手帳を保持していない者 3.発達障害が疑われ,職場で問題行動などが事例化している者 4.職場でとくに問題を起こしていないが,産業保健職が接触を持つ中で発達障害が疑われた者 G.いわゆる「グレーゾーン」をめぐる問題 2 発達障害とは(市川宏伸) A.発達障害の現状 B.さまざまな分野と発達障害 1.発達障害と保健・福祉 2.発達障害と教育 3.発達障害と司法 C.発達障害の特徴 1.その数の多さ 2.外見からの課題の分かりにくさ 3.発達障害の存在の境界は明確ではない 4.外見上は課題が改善したように見えることもある 5.家族的背景を持つことがある 6.いくつかの発達障害が同時に存在していることは珍しくない D.発達障害と診断 1.操作的診断基準 2.DSM-5について E.発達障害と社会的対応 1.さまざまな法律と支援 2.発達障害と就労 F.発達障害をどう考えるか G.発達障害における今後の課題 3 職場での対応~産業保健の役割を中心として~(塚本浩二) A.発達障害傾向が見られやすい社会的背景と基本的対応法 1.現代の社会的背景 2.「発達障害傾向のある者」への基本的対応法 B.業務管理が基本 1.業務遂行の状況を確認する 2.業務遂行に問題を生じさせている要因を見つける 3.発達障害の視点から見る 4.事例性,疾病性,それぞれに対応する C.連携の在り方について:監視カメラ型か鏡型か? 1.監視カメラ型連携 2.鏡型連携 D.医療につなげる・つながるとき クレームの電話を受けたことを契機に電話に出ることができなくなった 体調不良のため欠勤が多く,周囲から孤立してしまった うっかりミスが多い,指示を守らない,仕事を放置してしまうなどについて叱責を受け,出社できなくなった 特定業務の能力は高いが,それ以外の部下の育成・教育に関する業務はできず,周囲から不満が噴出し休職となった 4 企業での顧問医として見る発達障害 (五十嵐良雄) ・リワークプログラムを通じて発達障害の存在が確認できたが,職場が障害性を理解できなかったため,再休職. その後再びリワークプログラムを利用し,障害者職業センターのジョブコーチ支援を導入しうまくいった ・強迫性障害.入社時から強迫症状が目立つが,背景に発達障害がありそうな社員. 本人からはある程度の理解は得られたが,本人家族の受容が困難で将来が見えない ・注意欠如多動性障害(ADHD).本人のミスに激高した上司が暴力行為を起こして労災に認定. 休職となったが,リワークプログラムに参加し,発達障害を受容した本人の経過は良好 ・アスペルガー障害.数回の休職を繰り返しながら,異動して本社に戻るタイミングで発達障害と診断され, リハビリテーションプログラムに参加して,自己受容ができた 第2章 発達障害と分かったら~専門外来,心理療法,復職支援~ 1 発達障害専門外来から見えること(岡本龍也,飯島優子) A.当院の発達障害専門外来の概要 1.専門外来で実施している評価尺度 2.受診者の特徴 B.産業医,産業保健スタッフに知っておいてほしいポイント 1.初診紹介時のポイント 2.職場で問題となりやすいポイント 3.学生と失職者の悩み C.発達障害の診断に伴う問題 1.情報の氾濫,過剰診断 2.診断を受けることのメリット・デメリット 3.発達障害と診断することの難しさの問題 D.産業医からの紹介を受けて ・発達障害の典型的な事例.重なる意思疎通不良やケアレスミスにより人間関係が悪化し, 産業医より紹介を受けて外来へ来た ・発達障害と誤認された事例.意思疎通がうまくいかないことから発達障害を疑われ, 産業医面談を経て当院外来へ紹介されてきた(福島 南) 2 リワーク外来から見えること (五十嵐良雄,岡本龍也) ・苦手な業務の担当になり,周囲から孤立.仕事への意欲が低下して休職に至った ・リワークプログラムを経て復職したが,再休職して退職.その後,就労支援事業所に通所し, 障害者雇用で非正規雇用から正規雇用を目指し,安定的な勤務につながった(吉村 淳) 3 発達障害の心理社会療法 (高橋 望,福島 南) ・上司からの指示,同僚と話す内容を記憶することや,他者の気持ちを読むことが苦手で疲弊してしまい, うつ病と診断され休職に至った ・業務内容の変化,持病の悪化に伴い仕事上のミスが増えたり,他者の発言の真意(趣旨,意図)が つかめないことが多くなり,そのことで自己評価が低下し休職を繰り返す(高橋 望) 4 コーディネーターによる復職時の会社との連携 (吉村 淳,飯島優子) A.会社との連携の必要性 B.会社との連携 <成功事例> 職場内で問題を抱える中で抑うつ症状が出て休職となった.リワークプログラムに参加し,ADHDと診断され, コーディネーターとの連携で職場復帰ができた C.会社との連携 <失敗事例> 家庭環境の影響もあり対人関係への緊張,不安が大きく,仕事が手に付かない状況で自宅療養し リワークプログラムへ参加 D.リワークコーディネーターの視点による連携の流れと注意点 E.会社との連携におけるリワークコーディネーターの役割 F.より良い連携に向けて 第3章 発達障害に有効な外的資源を活用する 1 企業を支援するCAPでの取り組み紹介 (山口佳奈,松村英哉) ・復職に際し障害者職業センターの「就労準備支援」を利用したケース. 慣れない管理業務や仕事の失敗から自信を無くし,業務遂行が困難となり休職になった ・コミュニケーションスキル不足から部下の統率が困難となり休職. 復職に際しリワーク・トライアルを利用し,発達障害が疑われた(松村英哉) 2 発達障害とストレスチェック制度との関連(松村英哉,山口佳奈) A.ストレスチェック制度における面接指導の概要 B.発達障害の特徴 1.強いこだわり 2.社会性の障害 3.コミュニケーションの障害 C.発達障害を持つ従業員に対する職場の評価 D.面接指導後の対応 E.発達障害とストレスチェック制度との関連 3 就労移行支援事業所での発達障害の就労への取り組み(萩原健司,古野洋一) A.就労移行支援事業所とは B.就労移行支援事業所「ライフ&ワーク」の事業活動 C.「ライフ&ワーク」の利用規定と利用者の特徴 1.一般就労と障害者就労の違い 2.プログラム 3.主治医との連携 4.スタッフに関して 5.企業との連携 6.採用面接の実際 D.就労移行支援事業所における発達障害の事例 ・大手企業に就職するが度重なるミスがきっかけで退職となり,その後,障害者雇用で再就職した ・大学院を休学中に就労移行支援事業所を利用して,障害者雇用での採用につながった ・発達障害を隠しての就職を目指したが,生活リズムが安定せず,途中で通所を中止することになった ・障害受容はできていたが,障害者雇用に抵抗感があったため, 人材紹介会社に登録して「障害者」を伏せたクローズで就職した ・大学に進学後,勉強についていけなくなり,自宅に引きこもってしまった. 休学中に当事業所に通所したが,途中で通所できなくなり中止となった E.障害者雇用を受け入れている会社の声 1.大手企業特例子会社(採用担当者) 2.人材紹介会社の特例子会社(採用担当者) 3.金融機関(所属部署の上司) F.企業側から見る障害者雇用の注意点と実際 1.発達障害について障害受容できていない場合 2.クローズでの就職を希望する場合 3.実習先に採用される場合 4.非正規雇用から正規雇用を目指す場合 5.本人の現実検討力がなく,高い目標を設定し障害受容が難しい場合 6.企業と就労支援事業所との連携の必要性(萩原健司) あとがき 索 引
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