てんかんと意識の臨床(こころの科学叢書)
兼本 浩祐 著
内容
目次
はじめに 第 I 部 てんかんとは何か 1 てんかんとは何か――太古の海に根ざす病 てんかんの定義 過剰な放電はどのようにして起こるのか イオンチャンネルとてんかん イオンチャンネルにはどんな種類があるか 脳にブレーキをかけるか、アクセルを踏めないようにするか 脳の根源に近い病としてのてんかん 昔々…… 2 てんかんと生活歴 はじめに 症例A 症例B 考察 3 精神科におけるてんかん診療 はじめに 精神科医に初診ないしはコンサルトされる可能性のあるてんかん関連の諸病態 神経症や精神病など他の精神科疾患を疑われて来院する場合 spike and wave stuporあるいは欠神発作重積状態 てんかん性精神病 まとめ 4 てんかんに併存した抑うつ状態 はじめに てんかんに併存する抑うつ状態の種類 発作後抑うつ 発作間歇期抑うつ てんかんにおける抑うつ状態の特徴と対応 5 新しい抗てんかん薬と伝統的抗てんかん薬 はじめに 第一世代――フェノバルビタール、フェニトイン 第二世代――カルバマゼピンとバルプロ酸 第三世代――ラモトリギン、トピラマート、レベチラセタム、ガバペンチン 抗精神病薬と抗てんかん薬 エビデンス構築のバイアスを考える 時代が変わるということはどういうことか 6 妊娠・出産と抗てんかん薬 はじめに 妊娠時の抗てんかん薬投与の原則 妊娠に関連するてんかん学的事項 各抗てんかん薬と催奇性 葉酸の事前投薬 授乳 まとめ 7 児童・思春期とてんかん はじめに 症例 主要なてんかん症候群 てんかんと関連の深い特殊な脳疾患 抗てんかん薬の精神機能への影響 てんかん発作そのものは目立たず高次大脳機能障害が主訴となる特異なてんかん症候群 8 老年期のてんかん はじめに 老年期発症のてんかんの特性 アルツハイマー病に併発するてんかん 老年期に自然発症するてんかん 老年期のてんかん治療の問題点 9 脳波が読めないときにどうてんかんを診るか はじめに 受け取った脳波所見から臨床データを読む てんかん波と似て非なる脳波所見 脳波は何回、いつ、何分くらいとればよいか 10 てんかんにおける衝動性 はじめに 抗てんかん薬誘発性 発作後もうろう状態 発作間歇期における特異な行動パターン 発作後精神病 てんかんからみた衝動性の亢進と器質性疾患 11 頻度がごく少ないか、社会的影響の小さなてんかん発作 はじめに 初回発作 事例化以前・医療化以前 誰を、いつ医療化するべきか 12 てんかんと病識――「私」との距離から考える 病識・病感とは何か てんかん性精神病と統合失調症の治療脱落率 脳の観点からこの相違をどう説明するか 発作後精神病によるカプグラ症候群 病識のヒエラルヒー ヤスパースの復権 第 II 部 意識と解離 13 意識障害とその展望 はじめに DSM-IVのせん妄概念 てんかん新国際分類における意識障害概念の消滅について アンリ・エイの苦闘 ダマシオと身体感覚としての意識 随伴現象論の旗手としてのエーデルマン――連続しているのは脳だけである こころは脳か 14 解離という言葉とその裾野――「リスカ」「OD」「プチ解離」 メディアにおける解離と精神医学の解離 リストカット研究での経験から 症例 「プチ」解離は、病理か、現実への適応か、それとも進化か 15 思春期の解離 はじめに 症例 思春期小解離症例の範例的経過 思春期の小解離と区別しておくべき病態 第 III 部 精神科医の作法 16 こころの所見、からだの所見――精神科診断にとっての生活史の聴取 精神科において所見をとるということ――形式と内容 精神科において所見をとるということ――横断象と縦断象 精神科診療上のセーフティ・ネットとしての生活史 DSM-IVの多軸診断 17 カルテは徴候の記録か、問題解決の道しるべか 疾患中心主義 対 課題中心主義 臨床心理士の面接記録 精神科臨床とカルテ――形式と内容 精神科医のカルテと臨床心理士の面談記録 POSシステムにおける知の位置 「知」の所有者と診療記録 18 症例がつくる精神科医のかたち 初出一覧
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