内容
救急診療では、呼吸器疾患に限らず、致死的重症患者や一瞬の判断の誤りが生命に関わる重大な疾患にも自信をもって対応できることが求められる。救急患者の重症度は多岐にわたり、同一疾患であってもその重症度は患者によって違う。また、同一患者であっても、重症度も病態も時々刻々と変化する。救急診療にあたっては、まずは①視診(第一印象を含めた患者の外観)、問診、触診、打診、聴診による患者全体の印象・所見からの評価、②バイタルサインをはじめとした客観的な患者情報に基づく評価から鑑別診断を想起し、遅延なく必要な検査をするとともに、初期対応を行いながら、総合的に可能性の高い診断、治療および管理を行う。こうしたプロセスは、すべての診療の基本であり、救急診療は医師としての臨床能力を最大限に発揮できる場である。 本特集では、「総論」、「呼吸器徴候からみた救急診療」、「基本となる対応法」、「知っておきたい検査」、「主な疾患からみた救急マネージメント」の5つの章に分け、いずれも臨床経験豊富なエキスパートの先生方に執筆をお願いした。 本特集により、呼吸器科医を目指す若手から実績あるエキスパート呼吸器科医まで、全ての先生方が自信をもって呼吸器救急診療に対応できるものと確信している。