内容
AIが技術面で進化していく中で、社会に普及していくためには、いくつか越えなければならないハードルがある。その一つが、法律面で生じる問題である。例えば、AIが事故を起こした場合、AIの開発者が全責任を負う法制度では、AIの開発はストップしてしまうだろう。他方で、開発者が全く責任を負わない法制度では、被害者は全く救済されず、社会においてAIに反対する風潮が高まるであろう。このように、AI技術がどんなに進歩したとしても、AIが社会に普及していく上で、法律がボトルネックとなるおそれがある。現在の法制度の下では、AIによって生じる法律問題をどのように解決すればよいのかについて不明確な点が多い。法律が不明確だと、人々がどう行動すれば予測できないため、それもまた大きな問題である。本書は、AIによって生じる法律問題について、そもそもどのような問題があるのかを整理した上で、どのように考えるべきかについて解説したものである。また、法律は倫理の問題と切り離せないため、倫理の問題についても一編を設けて解説している。本書は、AIの法律について幅広くカバーしており、以下のとおり5つの編から構成されている。第1編 AIの基礎知識第2編 AIの法律の基本編第3編 AIの法律の応用編第4編 AIに関する倫理第5編 AIと現行法における課題・未来の法制度への提言