内容
自閉症と診断される人の割合は、40年前には5000人に1人でしたが、2014年には68人に1人と、約70倍に増えています。「アスペルガー」「大人の発達障害」という言葉もよく話題にのぼるようになり、いまや自閉症はごく身近な障害といえます。しかし、自閉症にはいまだに多くの誤解や偏見がつきまとっています。「親の育て方が悪いと自閉症になる」「親が自閉症だと子も自閉症になる」「三種混合ワクチンを接種すると自閉症になる」……これらは明らかな間違いであり、誤りの原因は、自閉症という障害がなぜ起こるかが知られていないことにあります。自閉症は、脳ができあがるまでのほんのちょっとした「バグ」で起きます。脳ができあがるプロセスは複雑をきわめていて、無数の「罠」に満ちています。実は誰の脳にもバグがあり、「完璧な脳」など、どこにも存在しないのです。では、どんなバグが自閉症になるのか?第一線の研究者が最新の研究成果をもとに、やさしく解き明かします。目次第1章 自閉症とは何か第2章 脳はどのように発生発達するのか第3章 ここまでわかった脳と自閉症の関係第4章 自閉症を解き明かすための動物実験第5章 自閉症を起こす遺伝子はあるのか第6章 増加する自閉症にいかに対処するか