内容
「好雪、片片別処に落ちず」などの言句でも有名な中国唐代の禅者龐居士(ほうこじ)は、生涯、出家することなく禅の精神を追求した人物。在家の禅者としての立場を貫きつつ交わした禅僧との対話・問答の語録は早くから記録され、1300年を経た現在まで「龐居士語録」として伝わる。本書は、入矢義高氏が注釈した名著『龐居士語録(禅の語録7)』に衝撃を受け、40年の歳月を経て、著者独自の解釈を試みた力作。語られた「禅問答」を自由な発想で正面から斜めからと、縦横無尽の解釈を加える。入矢解説には無い、禅問答を心から楽しむ姿勢が読む者にも伝わってくる。とはいえ、どちらかというと硬きに流されがちな禅問答だが、本文中に時折挿まれている柳家一九師匠のイラストが軟らかい方へと引き戻してくれる。