パウロの神秘論~他者との相生の地平をひらく~
宮本 久雄 著
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内容
目次
序 章 本論の目的と筋立て 1 なぜ,今,また,パウロなのか 2 それでは「なぜ」なのであろうか 3 それでは「今」とはどういうことか 4 それでは「また」とはどういうことなのであろうか 5 筋立て 第1章 現代におけるパウロ解釈の二動向 1 神秘主義と義認論をめぐって ドイツ系研究者 1.1 A.シュヴァイツァー 1.2 R.ブルトマン 1.3 G.ボルンカム 1.4 E.ケーゼマン 2 新しい眺め(New Perspective)の拓け 英米系研究者 2.1 E.P.サンダース 2.2 J.D.G.ダン 2.3 N.T.ライト 第2章 回心以前のパウロとダマスコ体験 1 回心以前のパウロ 1.1 律法的義人パウロ――関連テキストから探る 1.2 パウロのイメージ 1.3 パウロのキリスト教迫害の理由 2 パウロのダマスコ体験 2.1 ダマスコ体験の虚構説および二つの位相 2.2 ダマスコ体験をめぐって――関連テキスト 2.3 栄光のイエスによる回心と異邦人の使徒への召命 第3章 キリスト論 序 パウロから見たイエス 1 キリストに関する全体的ヴィジョン 1.1 キリスト賛歌「フィリピの人々への手紙」二6-11 1.2 復活をめぐって「コリントの人々への第一の手紙」十五1-28 2 キリスト論的諸テキスト 2.1 洗礼 キリストの死と生にあやかり「ロ―マの人々への手紙」六1-14 2.2 アブラハムとキリストへの信仰による義「ガラテヤの人々への手紙」三6-14 2.3 主の晩餐「コリントの人々への第一の手紙」十一23-26 2.4 カリスマ論「コリントの人々への第一の手紙」十二1-31a 第4章 トーラー(律法)論 序 Covenantal Nomismの地平 1 トーラーに対するパウロの態度 1.1 否定的評価 1.2 トーラー肯定論 2 パウロのトーラー論と救済論(「ロ―マの人々への手紙」九-十一) 第5章 神の義と神によるキリストを通しての義化 序 罪・悪について 1 神の義と義化 1.1 R.ブルトマンの「神の義」 1.2 E.P.サンダースの義化論 1.3 N.T.ライトの解釈 1.4 「新たな眺め」(New Perspective) 2 「ロ―マの人々への手紙」七章、絶望する「わたし」とは? 2.1 「わたし」についての諸説 2.2 「わたし」に関する共通点とわれわれの見解 第6章 聖霊論(Pneumatologia) 序 「ロ―マの人々への手紙」七章(罪への隷属)と「ロ―マの人々への手紙」八章(聖霊による罪からの自由)との対比 1 「ロ―マの人々への手紙」八章における「聖霊論」解釈の系譜 1.1 E.ケーゼマンの解釈 1.2 川島重成の解釈 1.3 U.ヴィルケンスの解釈 1.4 J.D.G.ダンの解釈 1.5 D.J.ムーの解釈 1.6 J.A.バートンの解釈 1.7 A.ジニャックの解釈 2 「コリントの人々への第一の手紙」十二章における「キリストのソーマ」とカリスマ協働体 2.序 信仰告白とキリスト教協働体の成立 2.1 R.B.ヘイズの解釈 2.2 J.A.フィツマイヤーの解釈 3 有賀鐵太郎におけるハヤトロギアとそのキリスト論的中断およびプネウマ体験 4 むすび――聖霊の諸特徴 第7章 変容論 序 霊の主導による変容 1 義化・聖化を含む変容について――基礎テキスト・「ロ―マの人々への手紙」六1-23 1.1 E.ケーゼマンと川島重成の解釈 1.2 U.ヴィルケンスの解釈 1.3 D.J.ムーの解釈 1.4 A.ジニャックの解釈 2 変容をめぐって――関連テキスト 2.1 文字と霊「コリントの人々への第ニの手紙」三6-四6 2.2 死と生命「コリントの人々への第ニの手紙」四7-15,17 2.3 仮の住まいと天井の住まい「コリントの人々への第ニの手紙」四16-五10,17 2.4 肉の業と霊の実り「ガラテアの人々への手紙」五13-25 2.5 諸霊への隷属から神の子の誕生「ガラテヤの人々への手紙」三23-四11 2.6 死の滅びと神の国の現成「コリントの人々への第一の手紙」十五20-28 2.7 自然的身体から霊的身体へ「コリントの人々への第一の手紙」十五35-36 2-8 むすび 第8章 ソーマ的受難と変容の神秘論――パウロ神秘論を構成する諸テーマ(ソーマ,受難,サタン的諸力との戦い,終末,変容,同形化,相生,神秘) 1 諸テキストにおける各テーマの分析と洞察 1.1 「フィリピの人々への手紙」一19-25 1.2 「フィリピの人々への手紙」三7-11 1.3 「コリントの人々への第ニの手紙」四7-14 1.4 「コリントの人々への第ニの手紙」十一23-33,十二7-10 1.5 「ガラテヤの人々への手紙」四13-14 1.6 「ロ―マの人々への手紙」八18-30 2 パウロ神秘論の基礎テキスト 2.1 卑しいソーマからの栄光のソーマへの変容「フィリピの人々への手紙」三12-21 2.2 キリストこのわたしのうちに生きる「ガラテヤの人々への手紙」ニ19-20,三13 3 むすび むすびとひらき 序 第一部 神秘論を構成する諸テーマをめぐって――第一-八章の総括的ふり返り 第ニ部 諸々の神秘主義・神秘論の類型とパウロの神秘論 2.1 グノーシス主義的神秘主義 2.2 ギリシア教父とラテン教父の神秘論 2.3 パウロの神秘論 第三部 パウロ神秘論が根源悪的現象に告知しうる思想と実践および諸々の宗教的神秘伝承との対話の可能性――根源悪,パウロ神秘論の根拠・エヒイェ,エヒイェ的人格と相生の地平 3.1 根源悪の現象する只中にて 3.2 パウロ神秘論の根拠の系譜――ヘブライ的エヒイェ,ani hu,七十人訳ego eimi,キリスト教的ego eimi 3.3 パウロ神秘論が披く他者との相生への途と根源悪の現象超克の諸可能性 放てば満つる 鬼哭と恩愛の秋(とき) Mystical Philo-Theology of Saint Paul Hisao MIYAMOTO
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