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古典教育と古典文学研究を架橋する~国語科教員の古文教材化の手順~
井浪 真吾
著
発行年月 |
2020年03月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
342p |
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大きさ |
21cm |
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ジャンル |
和書/社会科学/教育学/教科教育学 |
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ISBN |
9784909658265 |
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商品コード |
1031490433 |
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NDC分類 |
375.8 |
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本の性格 |
実務向け |
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新刊案内掲載月 |
2020年05月1週 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1031490433 |
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著者紹介
井浪 真吾(著者):1985年滋賀県生まれ。2009年広島大学教育学部第三類国語文化系コース卒業。2011年同大学院教育学研究科教科教育学専攻国語文化教育学専修修了。2019年同大学院教育学研究科教育学習科学専攻教科教育学分野国語文化教育学領域修了。神戸龍谷中学校高等学校講師、教諭を経て、2019年現在、奈良女子大学附属中等教育学校教諭。
内容
古文テキストの教材化は、こうして行う。
古典教育研究、古典文学研究の架橋を試み、生徒たちの古典教育を考える。
「古典を勉強する意味ってあるんですか?」近年、こういった問いに対して応答する人が増えてきました。
しかしその問いについて、古典文学研究者からの提言は「生徒の古典嫌い」をどう打開していくかに議論が集中し、教科書教材の面白い読み方、教科書に採録されていない古文テキストの紹介など、古典世界へのアプローチばかりが言い立てられています。そこでは「古典世界の奥深さ」「古典文学の魅力」など、古文テキストの価値は先験的に認めらており、学習の意義との回路が明示されることはありません。
古典文学研究者にとって古典教育の世界は、授業作り提案と実践報告、学習指導要領解説で埋め尽くされている、研究者が踏み込めない世界と映り、教員は時間的な余裕もなく、古典文学研究の細分化や領域拡張もあり、自らとの間のに切実さが見えないものと映ってしまっています。では互いの相互疎外状況を変えていくにはどうすればいいのか。
本書は、古典文学研究が明らかにしてきたものを生かし、古典教育研究や古典教育実践が明らかにしてきた古典教育の意義や目標と照合し、現在の古典教育をめぐる状況を踏まえながら、『宇治拾遺物語』を手掛かりに、教材化を試みた実践の書です。
第一部では、「教材分析の方法」として、『宇治拾遺』の表現分析の方法や観点を整理し、分析の実際を示します。第二部では、「教材化の前に考えておきたいこと」として、古典教材や古典教育実践の現状を示し、古典教育の目標や意義の検討を行います。第三部では、「教材化の構想」として、第一部、第二部を踏まえた『宇治拾遺』の教材化を試みます。
これから教員になる人と、すでに教壇に立っているすべての人に。古文テキストの教材化の手順を知りたいすべての人に。古典教育研究と古典文学研究の相互疎外状況を感じている人に。
【本書は『宇治拾遺』の教材化を提案するわけですが、この手順は古典文学研究と古典教育とを架橋した形で古文テキストを教材化する際の手順でもあります。テキストの何がどのような手法で明らかにされているのか、それと生徒たちとの接点をどこに見いだすのか、そのテキストは古典教育ではどのように扱われてきたのか、古典教育の目標や意義をどこに見いだすのか、それらを踏まえた上でテキストをどう教材化するのか。これが本書の手順です。もちろん、いつもここまで詳細にできるわけではありませんし、本書での「教材化」から実際の授業での「教材化」に至るには、ほかにも考慮すべき要素はあります。とはいえ、歩み寄ろうとしながらも「相互疎外状況」が深刻化している古典教育の現状を打破するために、本書の手順はモニタリングする際の観点の一つとして使っていただけるのではないかと考えています。本書を起点に、古典文学研究と古典教育との架橋の試…