著者紹介
船橋 洋一(著者):船橋 洋一(フナバシ ヨウイチ)
アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長
東京を拠点とするシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(旧・日本再建イニシアティブ)」の共同設立者兼理事長。元朝日新聞社主筆(2007~2010年)であり、多くの著作で数々の受賞歴を持つ日本人ジャーナリスト。アジア太平洋地域の外交、日米同盟、北東アジアの地政学・地経学、歴史問題について幅広く執筆。朝日新聞北京特派員(1980~1981年)、ワシントン特派員(1984~1987年)、アメリカ総局長(1993~1997年)を歴任。著書として『21世紀 地政学入門』(文春新書、2016年)、『シンクタンクとは何か』(中公新書、2019年)、『地経学とは何か』(文春新書、2020年)など多数。
G・ジョン・アイケンベリー(著者):G・ジョン・アイケンベリー
プリンストン大学教授
プリンストン大学ウッドロー・ウィルソン公共政策大学院教授。自由で開かれた国際秩序に関する世界有数の専門家。Liberal Leviathan: The Origins, Crisis, and Transformation of the American World Order(Princeton University Press, 2011)をはじめとした7冊の著書がある。著書After Victory : Institutions, Strategic Restraint, and the Rebuilding of Order after Major Wars(Princeton University Press, 2001、鈴木康雄訳『アフター・ヴィクトリー 戦後構築の論理と行動』NTT出版、2004年)は、アメリカ政治学会が世界史および国際政治の最優秀著作を選出する、Schroeder-Jervis賞(アメリカ政治学会世界史国際政治部門)を受賞(2002年)。
内容
過去70年間、日本はアメリカ主導の自由で開かれた国際秩序から、最も利益を得てきた国の一つである。中国も1970年代以降、この秩序の最大の受益国の一つに加わり、数億人の市民を貧困から救い出すことができた。
アジア太平洋地域の発展を支えた、このような自由で開かれた国際秩序とは、アメリカが保証するハードパワーを背景に、開かれた形で国家間の関係を治める一連のルール、規範、そして制度をいう。それは安全保障秩序、経済秩序、人権秩序という三つの柱から構成される。ところがアメリカのトランプ政権はこの秩序を自ら破壊しつつあり、それは国際秩序をめぐって日本が抱える根本的なジレンマを露呈させることになった。
本書は、安倍政権下の政策を分析・評価し、政治的・社会経済的な制約を考慮しつつ、アジア太平洋地域における自由で開かれた国際秩序を守り、 それを改革するために日本はどうすべきかを提案する。