著者紹介
ピエール・ロチ(著者):ピエール・ロチ
本名ジュリアン・ヴィヨー(Julien Viaud)。フランス大西洋岸の港町ロシュフォールで生まれ、幼少の頃から海と瞑想を愛した。海軍士官として世界各地を周遊して、その風物を繊細な筆致で描出し、また異国女性との交渉を自叙伝風に、告白的に語った。『アジヤデ』『ロチの結婚』『氷島の漁夫』『お菊さん』などの小説のほか、『モロッコにて』『北京最後の日』『アンコール詣で』など、多くの旅の印象記を書いたが、それらは情熱的な官能の奥底に、〈滅びゆくもの〉への独特の哀感をただよわせて、自然主義文学の退潮する世紀末の文壇に異国情緒の鮮烈な新風を送った。
市川 裕見子(翻訳):1953年、東京生まれ。1976年、東京大学教養学部教養学科イギリス科卒業。1986年、東京大学大学院比較文学比較文化博士課程単位取得満期退学。1986年、宇都宮大学教養部専任講師。1990年、宇都宮大学教養部助教授。1994年、宇都宮大学の改組により宇都宮大学国際学部助教授(『日欧比較文学論』担当)。2004年、同学部教授。2018年、同学部退職、宇都宮大学名誉教授となる。 主な訳書に、ルシラ・バーン『ギリシャの神話』(丸善ブックス、1994年)、M.J.グリーン『ケルトの神話』(丸善ブックス、1997年)、アンリ・トロワイヤ『フロベール伝』(共訳、水声社、2008年)、アンリ・トロワイヤ『トゥルゲーネフ伝』(水声社、2010年)がある。