丸善のおすすめ度
台湾、あるいは孤立無援の島の思想~民主主義とナショナリズムのディレンマを越えて~
呉 叡人
著
駒込 武
翻訳
発行年月 |
2021年01月 |
---|
|
|
言語 |
日本語 |
---|
媒体 |
冊子 |
---|
|
|
ページ数/巻数 |
4p,452p |
---|
大きさ |
20cm |
---|
|
ジャンル |
和書/社会科学/政治学/政治思想史・政治理論 |
---|
|
|
ISBN |
9784622089742 |
---|
|
商品コード |
1032626111 |
---|
NDC分類 |
311.2224 |
---|
|
|
本の性格 |
学術書 |
---|
|
新刊案内掲載月 |
2021年02月3週 |
---|
書評掲載誌 |
朝日新聞 2021/03/20、日本経済新聞 2021/03/20、朝日新聞 2021/12/25 |
---|
商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1032626111 |
---|
著者紹介
呉 叡人(著者):1962年、台湾桃園生まれ。台湾大学政治系卒、シカゴ大学政治学博士。現職は中央研究院台湾史研究所副研究員。著書に『台湾、あるいは孤立無援の島の思想――民主主義とナショナリズムのディレンマを越えて』(駒込武訳、みすず書房、2021)、訳書にベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』の中国語版(《想像的共同体》台北:時報文化、1999年)がある。比較史的な歴史分析、思想史、文学に知的関心を持ち、台湾と日本と世界を往来し、詩を愛し、自由を夢想する。
駒込 武(翻訳):東京都駒込生まれ。東京大学教育学部卒、教育学博士(東京大学)。現職は京都大学大学院教育学研究科教授。専攻は植民地教育史、台湾近現代史。単著に『世界史のなかの台湾植民地支配――台南長老教中学校からの視座』(岩波書店、2015年)、編著に『生活綴方で編む「戦後史」――〈冷戦〉と〈越境〉の1950年代』(岩波書店、2020年)等。訳書に呉叡人『台湾、あるいは孤立無援の島の思想――民主主義とナショナリズムのディレンマを越えて』(みすず書房、2021)。
内容
台湾は近代以降、清、日本、中華民国、アメリカという複数の帝国による連続的な支配を受け、またその複雑な民族構造のために統一的なナショナリズムや共通の歴史認識の形成を阻まれてきた。台湾の主体化を達成すべく、人々は歴史を紐解き、過去の国家暴力や不正義をただして内部的な分断を乗り越えることを通じて民主化を推し進め、生存空間を共にする者たちの同盟としての「台湾民族」と、多元・民主・平等に基づいて同盟を強化するためのイデオロギーとしての「台湾ナショナリズム」を志向した。しかしそうした内部的な努力にもかかわらず、国際社会においては、主権国家体制からの排除や、新興の中国を含む諸帝国の狭間にあるという地政学的構造に起因する現実政治の桎梏を自力で克服することはできず、その命運はいまなお強権によって掌握されている。
台湾の市民社会はそうした賤民(パーリア)的境遇を自覚的に引き受け、新たな帝国と資本主義による支配に対抗することを通じて逆説的に民主主義を深化させた。そしていまや普遍的価値を台湾社会に体現することに世界への回帰の道を見出し、行動している。
政治学者による20年におよぶ思想的格闘の集成。