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数学に魅せられて、科学を見失う~物理学と「美しさ」の罠~
ザビーネ・ホッセンフェルダー
著
吉田三知世
翻訳
発行年月 |
2021年04月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
315p,23p |
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大きさ |
20cm |
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ジャンル |
和書/理工学/物理学/理論物理学 |
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ISBN |
9784622089810 |
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商品コード |
1032810909 |
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NDC分類 |
420.4 |
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本の性格 |
学生用 |
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新刊案内掲載月 |
2021年05月3週 |
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書評掲載誌 |
朝日新聞 2021/05/22 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1032810909 |
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著者紹介
ザビーネ・ホッセンフェルダー(著者):フランクフルト高等研究所(FIAS、ドイツ)研究フェロー。重イオン研究所(GSI、ドイツ)でポストドク、アリゾナ大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(いずれもアメリカ)、ペリメーター理論物理学研究所(カナダ)にて研究フェロー、北欧理論物理学研究所(NORDITA、スウェーデン)助教授などを経て、2018年より現職。ブログ"BackReaction"http://backreaction.blogspot.com/が人気を集め、The New York Times、Scientific American、New Scientist、The Guardianをはじめとする雑誌にも寄稿している。Lost in Math: How Beauty Leads Physics Astray (2018)〔『数学に魅せられて、科学を見失う』吉田三知世訳、みすず書房〕が初の単著。
吉田三知世(翻訳):英日・日英翻訳者。京都大学理学部卒業後、技術系企業での勤務を経て翻訳家に。訳書に、フランク・ウィルチェック『物質のすべては光』(2009)、グレアム・ファーメロ『量子の海、ディラックの深淵』(2010)(以上、早川書房)、レオン・レーダーマン他『詩人のための量子力学』(2014)(白揚社)、ランドール・マンロー『ホワット・イフ? Q1』『ホワット・イフ? Q2』(2019)(いずれも早川書房)、ザビーネ・ホッセンフェルダー『数学に魅せられて、科学を見失う』(2021)(みすず書房)ほか多数。訳書のジョージ・ダイソン『チューリングの大聖堂』(2013、ハヤカワNF文庫版2017)が第49回日本翻訳出版文化賞受賞。
内容
物理学の基盤的領域では30年以上も、既存の理論を超えようとして失敗し続けてきたと著者は言う。実験で検証されないまま理論が乱立する時代が、すでに長きに渡っている。それら理論の正当性の拠り所とされてきたのは、数学的な「美しさ」や「自然さ」だが、なぜ多くの物理学者がこうした基準を信奉するのか? 革新的な理論の美が、前世紀に成功をもたらした美の延長上にあると考える根拠はどこにあるのか? そして、超対称性、余剰次元の物理、暗黒物質の粒子、多宇宙……等々も、その信念がはらむ錯覚の産物だとしたら?
研究者たち自身の語りを通じて浮かび上がるのは、究極のフロンティアに進撃を続けるイメージとは異なり、空振り続きの実験結果に戸惑い、理論の足場の不確かさと苦闘する物理学の姿である。「誰もバラ色の人生なんて約束しませんでしたよ。これはリスクのある仕事なのです」(ニマ・アルカニ=ハメド)、「気がかりになりはじめましたよ、確かに。たやすいことだろうなんて思ったことは一度もありませんが」(フランク・ウィルチェック)
著者の提案する処方箋は、前提となっている部分を見つめ直すこと、あくまで観測事実に導かれること、それに、狭く閉じた産業の体になりつつあるこの分野の風通しをよくすることだ。しかし、争点はいまだその手前にある。物理学は「数学の美しさのなかで道を見失って」いるのだろうか?本書が探針を投じる。