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私がホームレスだったころ~台湾のソーシャルワーカーが支える未来への一歩~

李玟萱  著

橋本 恭子  翻訳
台湾芒草心慈善協会  他
在庫状況 有り  お届け予定日 3~4日  数量 冊 
価格 \2,530(税込)         

発行年月 2021年07月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 347p
大きさ 19cm
ジャンル 和書/社会科学/社会学/社会問題・社会運動
ISBN 9784560097939
商品コード 1033197870
NDC分類 368.2
基本件名 ホームレス
本の性格 学生用
新刊案内掲載月 2021年08月2週
書評掲載誌 朝日新聞 2021/08/14、日本経済新聞 2021/08/21、東京・中日新聞 2021/09/26
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1033197870

著者紹介

李玟萱(著者):作詞家、作家。国立暨南國際大学成人生涯教育大学院修士。
921大震災(台湾中部大震災)後、被災地の再建に尽力する。台湾原住民族部落再建同盟、台湾長老教会921コミュニティー再建機構、台湾原住民族学院促進会などの機関で働き、台湾中部で8年間暮らす。2012〜13年に台北の萬華コミュニティー大学と萬華社会福祉センターの共同運営による「ホームレス絵画教室」のアシスタントを務め、ホームレスと知り合う。台湾夢想城郷協会のマイノリティ・観光ガイド養成に参加し、ボランティアとして観光ガイド用テキストとインタビューを執筆。本書で2018年度台北国際ブックフェア・グランプリ(ノンフィクション部門)、金鼎賞受賞。
夫の死を描いた『失去你的三月四日(あなたを失くした三月四日)』(宝瓶文化、2008年)は、台湾の中視テレビによりドラマ化され、第51回金鐘賞で四部門にノミネートされた。現在は作詞家として数多くのテレビドラマの主題歌・エンディング曲を手がけている。
橋本 恭子(翻訳):一橋大学言語社会研究科博士課程修了。博士(学術)
日本社会事業大学、津田塾大学、東洋大学、横浜創英大学、駒澤大学非常勤講師。
著書に『「華麗島文学志」とその時代――比較文学者島田謹二の台湾体験』(三元社)、『島田謹二――華麗島文學的體驗與解讀』(涂翠花・李文卿訳、台湾大学出版中心)、共著に『思想・文化空間としての日韓関係 東アジアの中で考える』(佐野正人編著、明石書店)、訳書に張小虹著『フェイクタイワン 偽りの台湾人から偽りのグローバリゼーションへ』(東方書店)がある。
台湾芒草心慈善協会(他):2011年、ホームレス支援の第一線で活躍するソーシャルワーカーによって組織・設立された社団法人。設立当初より国際交流を主とし、日本・香港・韓国などの第一線のソーシャルワーカーや研究者と交流し、相互学習を続けている。14年からは領域を拡大し、実務的な角度からホームレスおよび貧困者の援助に当たる。街歩き(Hidden Taipei)や起業工作室、自立支援センターなど、ホームレス自立プログラムを企画、実践。ホームレス生活体験キャンプ、「呷飽未」コミュニティ食堂などにも着手し、より多くの体験と交流を通して貧困者の生活への理解を広めることを目指している。

内容

「バクチ、酒、薬物、借金、倒産、病気――、いろんな理由で人はホームレスとなる。みんな不器用で人間臭く、だからこそ愛おしい。ここには、『助け合いの原点』が描かれている。」――雨宮処凛氏推薦!

コロナ禍で住まいを失う人が続出し、貧困問題がかつてないほど深刻な状況となっている現在の日本。ホームレスを「明日は我が身」と多くの人が身近に感じるような事態が続いている今こそ、ホームレスへの理解と、支援についても多様な面で考え、実践していく必要がある。そのために本書は有益な一冊となる。
ホームレスというと、「路上生活者」や「仕事をしていない人」というイメージが強いかもしれないが、本書を読むと、その固定観念こそが、ホームレスの人たちを社会から排除することになり、支援の弊害になっていると思い知らされる。
作家・作詞家で、社会的マイノリティに関心を寄せる著者が、台湾のホームレスと支援団体を取材して本書を書き上げた。台北国際ブックフェア・グランプリ、金鼎賞を受賞するなど高く評価された話題作の待望の邦訳。
第1部では、台湾のホームレス10名の人生の物語が鮮やかに描かれる。彼らの背景はそれぞれ複雑で、産業構造の変化から漏れてしまった人、心身障害を負った人、借金を抱えて家族との縁が切れてしまった人、かつて反社会的組織に属していた人など、ホームレスの置かれた状況が多くの点で日本と共通していることがわかる。どん底の状態でも、皆が仕事への意欲を持ち続けており、「ホームレス」の固定観念を打ち破られる。
第2部では、ソーシャルワーカーやボランティアなど、支援者5名の人生に光を当てる。なぜ彼らがホームレス支援に情熱を注ぐのか、その理由を知ることができ、支援者の背景や価値観も様々で、誰もが支援者になれることがわかり、支援へのハードルを下げることにもつながる。様々な支援団体が紹介され、活動内容も食事の提供から自立支援プログラム、新たなビジネスの創出に至るまで多様な試みが紹介されている。日本の活動を参考にしたものもあれば、私たちが参考にできそうなものもある。女性ホームレス支援についても詳しく触れられている。
コロナ禍で深刻さを増す貧困問題の支援について、「自助・共助・公助」を強調する日本政府の方針とは逆に、本書では「公助→共助→自助」の行政の支援システムを可視化している点も重要である。日本の現状や今後について考える上でも本書は示唆に富む。台湾の事例から日本の貧困とホームレス問題を捉え直し、一人一人の意識改革の一歩となることを期待したい。巻末に、台湾の支援団体とともに活動に取り組んできた中山徹(大阪府立大学名誉教授・大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員)の解説を付す。

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