著者紹介
チャン・ガンミョン(張康明)(著者):1975年、ソウル生まれ。元新聞記者。
2011年、長編小説『漂白』で作家デビュー。
社会批評からSFまで幅広い作品で知られ、ハンギョレ文学賞、秀林文学賞、済州四・三平和文学賞、文学トンネ作家賞などを受賞し、注目を集める現代韓国を代表する作家の一人。
邦訳書に、『韓国が嫌いで』(吉良佳奈江訳、ころから)、『鳥は飛ぶのが楽しいか』(吉良佳奈江訳、堀之内出版)。
小西 直子(翻訳):日韓通訳・翻訳者。
静岡県生まれ。立教大学文学部卒業。80年代中頃より独学で韓国語を学び、1994年、延世大学韓国語学堂に語学留学。以後、韓国在住。高麗大学教育大学院日本語教育科修了、韓国外国語大学通訳翻訳大学院韓日科修士課程卒業(通訳翻訳学修士)。現在は韓国で通訳・翻訳業に従事。
訳書に、イ・ギホ『舎弟たちの世界史』(新泉社)、イ・ドゥオン『あの子はもういない』(文藝春秋)、キム・ジュンヒョク『ゾンビたち』(論創社)、金学俊『独島研究』(共訳、論創社)。
内容
「北朝鮮の現政権が勝手に崩壊し、統一過渡政府が樹立する──。」
韓国で理想的に語られる筋書きが現実化した後の朝鮮半島を描いた近未来ディストピア小説。
北の社会の実情をリアルに描き、読者を一気に引き込む話題作。映画化も決定!
《我らが願いは…………統一》
北朝鮮の現政権が勝手に崩壊するという、韓国にとって理想的なシナリオが現実のものとなった朝鮮半島。しかしそこには、いまだ統一国家が成立してはいなかった。
一般人の南北間の往来は禁じられ、朝鮮半島北部は無能な「統一過渡政府」のもと、貧困と暴力が蔓延し、麻薬組織が暗躍する無法地帯となり果てていた。
つい何年か前まで、最も理想的と謳われていたシナリオ。それがいざ現実のものとなるや、餓鬼と修羅の跋扈する畜生道への扉が開かれたのだ。