著者紹介
鈴木 美勝(著者):鈴木 美勝(すずき・よしかつ) ジャーナリスト。茨城県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、時事通信社に入社、政治部に配属され、政局から外交安保まで幅広く取材。ワシントン特派員、ニューヨーク総局長(米国時事社長)、解説副委員長、専門誌「外交」編集長を経てフリーランスに。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。著書に『小沢一郎はなぜTVで殴られたか――「視える政治」と「視えない政治」』(文藝春秋)、『いまだに続く「敗戦国」外交――「衆愚」の時代の新外政論』(草思社)、『日本の戦略外交』(ちくま新書)、共著に『政治コミュニケーション概論』(ミネルヴァ書房、2021年)。日本政治法律学会「報道学会賞」受賞(2020年秋)。
内容
「固有の領土」はまた遠ざかってしまった。歴代総理や官僚たちが挑み続け、ゆっくりであっても前進していた交渉が、安倍外交の大誤算で後退してしまった内幕。== 雪解けが近づいたこともあった。しかし現在、ロシアとの交渉には冷たい氷の壁が立ちふさがり、「固有の領土」はまた遠ざかってしまった。戦後、歴代総理や官僚たちが使命感のために、政治的レガシーのために、あるいは野心や功名心に突き動かされて、この困難に挑み続けてきた。そして、ゆっくりとであっても前進していた交渉は、安倍対露外交で明らかに後退してしまったのだ。その舞台裏で何が起こっていたのか。国家の根幹をなす北方領土問題を、当時のインサイダー情報も交えて子細に辿りながら、外交交渉の要諦を抽出する。