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忘却の野に春を想う

姜 信子, 山内 明美  著

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価格 \2,420(税込)         

発行年月 2022年01月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 256p
大きさ 20cm
ジャンル 和書/人文科学/文学/日本文学
ISBN 9784560098776
商品コード 1033950407
NDC分類 915.6
本の性格 学生用
新刊案内掲載月 2022年02月2週
書評掲載誌 朝日新聞 2022/03/05、東京・中日新聞 2022/03/13、読売新聞 2022/04/03
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1033950407

著者紹介

姜 信子(著者):1961年、横浜市生まれ。86年『ごく普通の在日韓国人』(朝日新聞社)でノンフィクション朝日ジャーナル賞受賞。著書に『棄郷ノート』(作品社)、『ノレ・ノスタルギーヤ』『ナミイ!――八重山のおばあの歌物語』『イリオモテ』(岩波書店)、『生きとし生ける空白の物語』(港の人)、『平成山椒太夫――あんじゅ、あんじゅ、さまよい安寿』(せりか書房)、『はじまれ、ふたたび いのちの歌をめぐる旅』(新泉社)など多数。訳書に、ピョン・へヨン『モンスーン』(白水社)、李清俊『あなたたちの天国』(みすず書房)、共訳に黄晳暎『たそがれ』(CUON)など。編著に『死ぬふりだけでやめとけや 谺雄二詩文集』(みすず書房)など。17年『声 千年先に届くほどに』(ぷねうま舎)で鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞。
山内 明美(著者):1976年、宮城県南三陸町生まれ。宮城教育大学教育学部准教授。専攻は歴史社会学、農村社会学。日本の東北地方と旧植民地地域の双方をフィールドに、稲作とナショナリズムをテーマとする文化的政治にまつわる研究をしている。東日本大震災以後は、郷里の南三陸での農村調査も行っている。著書『こども東北学』(イースト・プレス)、共著『「辺境」からはじまる――東京/東北論』(明石書店)、共著『岩波講座 現代 第4巻 グローバル化の中の政治』、『ひとびとの精神史 第3巻 六〇年安保――1960年前後』(ともに岩波書店)など。

内容

史実と今の現実を積み上げて真実に至る。
近代日本の暗所に光を注いで、差別・被差別の図を描き出す。
しかし糾弾ではない。行きつ戻りつの思索の対話。
既にこの国は廃墟であるようだが、希望はある、我々の中に。
――池澤夏樹氏推薦!


近代を問い、命を語る往復書簡

朝鮮からのコメ難民の一族に生まれた作家の姜信子と、南三陸のコメ農家に生まれ、近代以降に東北が受けた抑圧の記憶と3・11で負った深い傷を見つめ続ける歴史社会学者・山内明美。
「“在日”とは近代世界の“難民”であり、奪われたままの存在」だと姜は言い、山内は「日本が植民地を失ったことで、元来コメづくりには向かない東北地方が矛盾を抱えながら穀倉地帯化された」と指摘し、それを「意識化できない奪われ」と表現する。
近代スポーツの祭典、東京五輪が近づくにつれ、震災の被災地の影も薄れ、「復興」の実質もあらわとなり、命がますますないがしろにされてゆく、その「近代」的状況に危機感を募らせた二人は、2018年冬、往復書簡をはじめた。明治150年を振り返り、周縁に追いやられ、弱く、忘れ去られようとしている者たちの声を掬い上げ、求心力に徹底的に抗いつつ。
近代の仕組みと思考、時間の堆積のなかで、私たちは何を忘れ、何を見失ってきたのか。
私たちが立っている場所とは、どのようなところなのか――。
足尾、アイヌ、辺野古、米軍のミサイル配備に反対する韓国の小さなソソンリ村など、奪われゆく土地を守ろうとする人の声、水俣や三陸の生業(なりわい)世界への眼差し、風土とつながる意志、存在を隠されてきたハンセン病患者、CP(脳性まひ)当事者の切実な声、相模原障害者施設殺傷事件の被告の過去とも未来とも命そのものとも切り離された価値観……。大きく耳をひらくことで「近代」の概念からはこぼれ落ちてしまう、大切なものに気づかされる。
復興による断絶、パンデミックによる分断を越えて、生のありかた、自分とつながる世界を一から捉え直し、つながりあいながら生きる道を探る、学びの多い一冊。

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