丸善のおすすめ度
分子分光学のエッセンス~量子化学の基礎から機器分析の実際へ~
植村 一広
著
発行年月 |
2022年01月 |
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言語 |
日本語 |
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媒体 |
冊子 |
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ページ数/巻数 |
5p,145p |
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大きさ |
21cm |
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ジャンル |
和書/理工学/化学/物理化学、理論化学 |
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ISBN |
9784339066593 |
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商品コード |
1034101389 |
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NDC分類 |
431.51 |
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本の性格 |
テキスト |
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新刊案内掲載月 |
2022年02月2週 |
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商品URL
| https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1034101389 |
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内容
本書は,初学者向けの分子分光学の教科書である。適切な内容と分量で,本書を読み通すことにより全体像を把握することができるよう,読者が高校数学で理解できる範囲の数式の扱いや理解しやすい言い回し,構成について工夫を施した。分子分光法を断片的には理解しているが,分光法の原理と機器分析の実際を一致させ,頭の中で分子の姿をイメージできるようになりたいという読者にもおすすめの一冊である。
光にはさまざまな波長があり,波長によって分子内で起こる遷移が異なる。本書では,どの光を選べば分子のどのような情報が得られるのかを,理解しやすいように心掛けた。また,分子に先立ち,原子の電子軌道を説明し,原子発光について解説した。その際,量子化学の基礎的事項を整理した。つづいて,光の波長が短い順に,電子遷移,振動遷移,回転遷移,磁気共鳴法と説明し,原理となる量子化学と,実際への応用となる機器分析が,スムースにリンクするよう意識した。
【著者から読者の方々へのメッセージ】
本書では,化学の研究で頻繁に測定する,紫外可視吸収スペクトル,赤外吸収スペクトル,核磁気共鳴法,電子スピン共鳴法の原理をやさしく述べています。これらの測定は,各々,異なる装置を用いて測定しますが,同じような原理に基づいています。実際の測定をブラックボックス化しないように,量子化学をもとに原理を理解しましょう。実際に測定しているけど,いったい何をしているのかわからない人,大学2,3年生で化学を学習しているけど,なかなか理解できない人向けです。高校までは化学が好きだったのに,大学の化学は数式が多くて嫌いになりかけている人も向いているかもしれません。大学初頭までの教科書は,読者が理解しやすいように丁寧,親切に説明してあるものが多いですが,大学後半および大学院生向けになると,依然,手強いものが多いです。それは,何年後かに,教科書の記載内容が覆る可能性があるからかもしれませんし,平易に書くのが難しいためだけかもしれません。本書の記載内容は,権威のある分厚い物理化学の教科書に記載されていますが,その教科書を1つずつフォローすることに挫折しそうになる人もいることでしょう。本書では,量子化学への苦手意識の壁を取り除き,初学者が読み進められることを意識しました。最先端の分子分光学の研究は,もっと専門的です。本書を土台に,より深く知りたい,研究したいという読者が増えたら,大変嬉しく思います。