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「使い捨てられる教師たち」の知られざる実態~非正規教員の研究~

佐藤 明彦  著

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価格 \1,760(税込)         

発行年月 2022年02月
出版社/提供元
言語 日本語
媒体 冊子
ページ数/巻数 167p
大きさ 19cm
ジャンル 和書/社会科学/教育学/教育システム・教育行政
ISBN 9784788718050
商品コード 1034144035
NDC分類 373.78
基本件名 教員
本の性格 実務向け
新刊案内掲載月 2022年03月3週
書評掲載誌 朝日新聞 2022/04/30
商品URL
参照
https://kw.maruzen.co.jp/ims/itemDetail.html?itmCd=1034144035

著者紹介

佐藤 明彦(著者):【佐藤 明彦】(サトウアキヒコ)

教育ジャーナリスト。1972年滋賀県出身。東北大学教育学部卒。大手出版社勤務を経てフリーの記者となり、2002年に編集プロダクション・株式会社コンテクストを設立。教育書の企画・編集に携わる傍ら、自身は教育分野の専門誌等に記事を寄稿。教員採用試験対策講座「ぷらすわん研修会」の事務局長。『月刊教員養成セミナー』前編集長。著書に『GIGAスクール・マネジメント―「ふつうの先生」がICTを「当たり前」に使う最先端自治体のやり方ぜんぶ見た。』『教育委員会が本気出したらスゴかった―コロナ禍に2週間でオンライン授業を実現した熊本市の奇跡』『職業としての教師』(ともに時事通信社)。

内容

■なぜこんな矛盾がまかり通っているのか―仕事内容も能力も正規教員と変わらないのに、使い捨てられる非正規教員たち

 公立学校には、「正規教員」と「非正規教員」がいる。
 このことは学校関係者なら当たり前に知っているが、一般の人にはあまり知られていない。多くの人たちは学校の先生に対して、フルタイムで働く正規教員のイメージを持っており、単年度の雇用契約で働く非正規教員がいること自体を知らない人は多い。
 「教員の非正規?それって産休の代役で来る先生とか、非常勤で教える先生のことでしょ?」と言う人がいるが、それだけではない。民間企業の契約社員のように1年契約で雇用され、正規教員とほぼ同じように働く非正規教員が、現在の学校にはたくさんいる。小学校では学級担任を務めることもあるし、中学校では部活動顧問を持つこともある。つまり、表向きは正規教員と何ら変わらない。だから、子供たちはもちろん保護者も、その先生が非正規教員だとは知らずにいることが多い。

 そんな非正規教員が今、増え続けている。その数は今や全国で10万人以上に上り、全体に占める割合も2割に迫ろうとしている。特に、過去15年ほどの急激な増加には驚かされる。グラフだけを見れば、10年後には3~4割が非正規となっても不思議ではない。多くの人が憧れを抱き、「専門職」と言われる教師という職業に、一体何が起きているのか。

 最初に断っておくが、筆者は非正規教員の増加が、直接的に教育活動の質的低下を招くとは考えていない。中には、採用試験に合格していない人が教壇に立つこと自体を問題視する人もいるかもしれないが、話はそう単純ではない。非正規教員の中には採用試験に合格していないだけで、能力的には正規教員に何ら劣らない人もたくさんいる。さらに言えば、教師としての使命感が強いがゆえ、試験対策に時間が割けず、合格できない人も少なからずいるのだ。この点は本章の中で詳しく解説するが、現状の採用選考における構造的な課題と言える。

 では、非正規教員の増加の何が問題なのか――指摘できることは多々あるが、最大の問題は、昨今問題となっている「教員不足」の最大要因となっていることだ。ご存じの方も多いと思うが、昨今は小学校を中心に、「担任が見つからない」「専科の先生がいない」などの状況が至る所で起きている。その結果、小学校では教頭や教務主任がピンチヒッター的に担任を務めるような事態も発生している。すべては各自治体が、非正規教員を増やし続けて来たことの顛末である。

 実を言うと、この問題に焦点を当てることには当初、ためらいがあった。教師という職業の負の側面がクローズアップされ、教員志望者の減少に拍車をかけるのではないかと考えていたのだ。だが、現場の事情で都合良く使い回されている非正規教員たちの姿を見て、やはり一石を投じないわけにはいかないと思った。本書を読んでくださった方々には、状況を冷静に受け止めた上で、建設的な解決・改善策を共に考えていただくことを期待したい。

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