内容
消費者に受け入れられやすい、つまりよく売れる製品やよく利用されるサービスを開発することは、企業活動における最重要課題である。
従来はそれを、新機能や意匠デザイン、低価格などによって実現してきたが、人間中心設計(Human Centered Design、以下HCD)の考え方が提唱されて以来、UX(ユーザーエクスペリエンス)の高い製品やサービスの受容性が高いことが明らかになってきた。
こうした「ものづくり」や「ことづくり」の現場における考え方の転換をもたらしたのがISO(JIS)の規格群である。
本書のPART 1では、HCDや関連する規格群が制定された背景をたどりながら、それぞれのキーポイントをおさえ、HCDがどのようにして提起され、普及してきたのかを概観する。
さらにPART 2では、製造業とサービス業の第一線で活躍する人々へのインタビューを掲載し、各企業におけるHCDの考え方や現場での取り組み、HCDとその関連規格の受け入れられ方、規格に対する意見などを対話形式でまとめている。
匿名掲載を前提として話をうかがうことで、実践現場の実態や現場の声を、できる限りありのまま伝えられるように心がけた。以前より、同業他社の動向や現場の実態を知りたいというニーズは高く、本書はそのような声に応えるために執筆されたものである。