著者紹介
ダイアン・クック(著者):作家。本書『人類対自然』はデビュー短篇集で、ガーディアン・ファーストブック賞、ビリーバー賞、PEN/ヘミングウェイ賞、ロサンゼルスタイムズ・ファーストブック賞の最終候補になるなど、高く評価された。長篇The New Wildernessは2020年のブッカー賞候補作。《ハーパース》《ティン・ハウス》《グランタ》などに短篇を発表しており、『ベスト・アメリカン・ショート・ストーリーズ』『O・ヘンリー賞受賞作』などのアンソロジーにも収録されている。ラジオ番組This American Lifeの元プロデューサー。ニューヨーク在住。
壁谷 さくら(翻訳):翻訳家。横浜市立大学国際文化学部卒業。主な訳書に『エンジェル・イン・マイ・ヘア』『死の都の風景』など。
内容
ミランダ・ジュライ絶賛! 米作家のデビュー短篇集
配偶者を亡くし自活できない男女が、収容先で再婚に向けて奇妙な再教育を受ける「前に進む」。大洪水のなか水没をかろうじて逃れた自宅で、助けを乞う人々を追い返して生き延びてきた男が、ある男をボディガードがわりに唯一受け入れたところ……「最後の日々の過ごしかた」。会議中に襲来した怪物から逃げまどいパニックに陥ったエリート役員たちが、死を前にして思い至ったのは……「やつが来る」。友人と出かけたボートが遭難し、来る気配のない救助を待つ男が、長年の友情が幻想だったと突きつけられる表題作。特異な生殖能力を持つため、あらゆる女に追い求められる″みんなの男”が、落ち着いた関係を望みはじめたとたん……「おたずね者」。抽選で〈不要〉と認定された子どもたちが繰り広げる、一瞬も気を抜けない苛酷な生存競争を描く傑作「不要の森」など。
不条理な絶望の淵で生き残りをかけてもがく人々の孤独と微かな希望を、無尽の想像力で描く、ダークでシュール、可笑しくて哀しい鮮烈な12篇。本書は多数の新人文学賞を受賞、最新長篇The New Wildernessは2020年ブッカー賞最終候補作になり、将来を嘱望されている。